捏造幻想水滸伝X〜弐〜

□受戒の意図・前編
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彼女はどういうつもりなのだろう。

通常の業務報告の後、主であるソリスは言っていた。
彼らならあの方を殺戮の天使に仕立て上げることはない、と。

その意味は図りかねたが、王子殿下が強権を発動してまで連れて行く、と公言するのは、
ひとえに彼女の持つ右手の紋章の力を利用したいが為だろう。
レインウォール防衛戦でのあのやり口を見る限り、そうとしか考えられない。


しかし。


――ここにいても、同じことか。

いざ事に及べば、彼女は自らを犠牲にしてでも戦いに身を投じるに違いない。
他の誰かが傷つくぐらいなら私が、とばかりに。

ソリスは例の『主命』について何やらこだわっていたが、
ダインの中ではそれはどうでもよいことになっていた。


ただ、護りたい、と思う。それだけのことだ。
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