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□ヘルプミーヘルプミー
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国会図書館というのはこの国の国立図書館で、そこにはこの国で出版された全てのものを収集さられており、この国の住人に広く解放されている

その建物自体もジャポン有数の建築家が設計を行っており、景観も素晴らしい

クロロはここに通い始めてちょうど一月たつ
かねてからジャポンの独特の文化に深い関心を寄せていたクロロは旅団の活動が終わった機会にジャポンに居を構えた
いくつかある拠点の一つにしかないのだが、料理や気候に加え四季の移り変わりを肌に感じることでますますジャポンへの興味を深めた

季節は残暑厳しい九月末より一月で大きく移り変わっていたところだ
秋には鬱蒼と生い茂っていた緑が色づき、冬になると枯れ落ちる




図書館で黙々と蔵書を読み漁るクロロの他に一人、また同じように読み更ける者がいた
この国の住人は一部を除き、あまり図書館を利用することは少ない
住人にとって、本というものは関心を惹く対象として優先順位は低い
娯楽の溢れるこの国で、知識欲を満たすという貪欲さがかけているとクロロは思う
教育水準も高く、教育を受けるという贅沢は贅沢として認識されていない
当たり前に与えられる教育に対し、国民は受動的だ

読み漁る女は学者かなにかだと予想していた
一部の例外、国会図書館で延々と論文を読みふけるのは研究者かなにかだと思っていた




常連客同士、女と雑談をかわすようになる頃には季節は冬に移り変わった
枯れ落ちて灰色の空気に退廃的な美を感じた

“ワビサビ”に拘りを持つ民族は寒さからコートに身を包み、景色を見る余裕はなさそうだ
クロロは思う
つくづくこの国の住人は贅沢だと




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