short

□4
1ページ/2ページ





レイと会うために、またオープンテラスのあるカフェに来ていた
約束の時間まであと1時間程ある

この日は前回とは違い晴天で、とても暖かい
ひんやりとした風が首を撫でる今日はオープンテラスが気持ち良い

バナナシフォンケーキにダージリンティーを頼み、暖かい日差しの中で読み途中の小説をひらいた













「団長、最近よく会いますね」
キリが良いところまで読みすすめた小説を閉じる

「あの男は来れないよ」

「残念です、結構相性良かったのに」
今日の団長は髪を下ろし額に包帯を巻いている
着ている細身のダークスーツはサイズもジャスト
一目には素敵な好青年


「それなら、俺に付き合えよ」

口調も普段よりは柔らかだ
男に生まれ変わるならば、こんな顔で生まれたいな
顔だけで生きていけそうだ




「あ、そういえば伴侶とか言ってましたね
私はてっきり、仲間としてのお話かと思ってましたが」

「ソウルメイトは恋人に限らないが、折角異性として生まれたのだから体の相性を確かめるのも一興だろう?」

団長なら女に不自由しないのに不思議だな
ソウルメイト、ね
魂の伴侶は魂の結び付きだから体の相性なんて関係ないだろうに


だが、短くない付き合いがある彼は言い出したら他の何もきかないところがある
彼の頭脳がそうすると決めたならはそうするのが最適の選択なのだ

ため息とシフォンケーキと噛み砕き紅茶で流し込む














彼が差し出す手に、手を絡ませれば連れていかれるのはレイと利用した類いのホテルではなくただの一軒家
どうやら彼の自宅らしい

必要な家具は最低限で、ただひたすらに本棚が多い
そこに収まりきらない時価総額何億ジェニーもする本たちが乱雑に積み上げられている
実に団長らしい自宅だ
自宅に着いても離されない右手にひかれ本の山を過ぎる
あ、あれ読みたかった絶版本!後で貸してもらえるように交渉しなければ









着いた先はキングサイズのベッドがポツンと鎮座するだけの寝室
他には何もない部屋だ
こんなところまで団長らしすぎて、段々と楽しくなってきた



キスから始まった性急な行為に没頭すると、寂しく見えたベッドの上にいる間はこの部屋の侘しさを感じることはなかった









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ