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小さな小さな棘を見付けたのは首飾りを所持するようになってから1ヶ月ほどたった頃だ

適当に入ったバーで適当に捕まえた女を口説いていたときだ






体つきも顔も好みで、遊びなれている雰囲気に後腐れなく抱けると思った
今回の女は何回か会っても良いと思える程度には気に入ったはずだった


だが、何かが違うのだ
小さな違和感は消えず、結局のところその女とは二度と会う気にはなれなかった









違う女を口説こうと、普段なら手を出さない女でも好みの女でも違和感はしこりのように消えず
様々な女に手を出した




シャルナークに、茶化された時にアンの首飾りを思い出した

その頃には小さな小さな棘は大きな塊になり噛み砕けない大きなものに成長していた



姫に文豪の和訳の話をしたのはただの気紛れだ
本を読めば周りのことは一切気にしない
仕事でなければ、本を読むことを中断しない


ただの気紛れだった












団長、月が綺麗ですね


ふわりと微笑む姫
いつもの張り付けたような、感情のこもらない笑みとは違う
艶やかな微笑みに魅せられた




「またか・・・」
あれ以来、夢に姫が現れる
元来、夢はあまりみないのだが近頃は頻繁に夢をみる




夢、無意識の欲求と言うがこれが俺の欲求?

アンは俺と姫が永遠の伴侶と言いたいのか
それとも俺が 姫を求めている?













瞬間、気分が高揚した
奪った獲物を愛でているような恍惚とした
読みたかった本を読み終わった瞬間の満足感のような

言語で表しようがなく、だが悪い気分ではない






気になる、気になる、興味深い
この感情は今までにない
知識として頭には入っていたが自分が当たり前の感情を持つだなんて


当分退屈せずに済む!
この形容しがたい感情を考察する時間が必要なのだから!











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