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団長、月が綺麗ですね


ふわりと微笑む姫
いつもの張り付けたような、感情のこもらない笑みとは違う
艶やかな微笑みに魅せられた

























何かが違う
漠然とした違和感を感じていた
違和感と呼べるほど大きいものではなく、何か小さな棘が感情の端の端に食い込む様でいて
抜けてしまいそうなその棘は気がつかなければ見落としてしまいそうなほどのものだ
しかし一度見つけてしまえば、なかったことにできない程度には大きいものであった


次の獲物はある小さな国の王女 が所有する、アンの首飾り
その国の三代前の女王アンが夫であり兄であるロンバートンに贈られたものだ
黒曜石一つがペンダントトップに使われているとてもシンプルな首飾りには特殊な念がかけてある
その首飾りの持ち主には必ず永遠の、それこそ輪廻転生が起ころうとも幾度となく巡り会う魂の伴侶が見つかり二度と離れなくなるという


団長にしては随分とロマンチックな物を狙うんだね、とシャルナークには言われた

普段なら何を言われても気にせずに奪う算段をつけるところだが、今回はその言い方がいやに気になった
ばつが悪い
個人の活動として盗むからだろうか

滞りなく準備は整い、イミテーションの首飾りと入れ替えてアンの首飾りを手に入れた

実物にかけられた念は悪意ある念ではなく、伴侶を見付けるために常に所持するという発動条件を満たしていても生活に特に代わり映えはなかった





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