short

□I Love You
1ページ/2ページ









廃ビルの屋上で仕事開始の合図を待っている間、瓦礫に座り本を読む団長が珍しく声をかけてきた

「姫は英語少し分かるよな?」

「ええ、まあ
簡単な言葉なら」









「なら、お前はI love youをどう訳す?」


「え、愛してるじゃないんですか?」



「とある国の、文豪は「月が綺麗ですね」と訳したそうだ」





「へぇ」






「あまり興味ないか」
仕事中はあまり感情が表に出ない人だが、何がおかしいのだろうか?口角がゆるりと上がっている




「いえ、ロマンチックだと思いますよ
素敵な訳ですね



団長ならどう訳すんですか?」
この人ならきっと文豪にも負けず劣らず、素敵な訳をつけてくれそうだ











「そうだな、





俺なら―――――――――だな」





突然の風により遮られ肝心な部分は聞こえない
もう一度言ってくださいなんて言えず、ただただ団長の綺麗な微笑みに魅いる


漆黒の髪と瞳、こんなに夜が似合う人は他にいないであろう
こんな大きな満月の夜もいいが、月も明かりもない夜が一番似合うのではないだろうか




「仕事だ、行こう」





シャルからの合図で私たちは仕事へ向かう
今日の獲物はブラックサファイアの指輪だ
彼の色に、よく似ている











あとがき→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ