short
□I Love You
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廃ビルの屋上で仕事開始の合図を待っている間、瓦礫に座り本を読む団長が珍しく声をかけてきた
「姫は英語少し分かるよな?」
「ええ、まあ
簡単な言葉なら」
「なら、お前はI love youをどう訳す?」
「え、愛してるじゃないんですか?」
「とある国の、文豪は「月が綺麗ですね」と訳したそうだ」
「へぇ」
「あまり興味ないか」
仕事中はあまり感情が表に出ない人だが、何がおかしいのだろうか?口角がゆるりと上がっている
「いえ、ロマンチックだと思いますよ
素敵な訳ですね
団長ならどう訳すんですか?」
この人ならきっと文豪にも負けず劣らず、素敵な訳をつけてくれそうだ
「そうだな、
俺なら―――――――――だな」
突然の風により遮られ肝心な部分は聞こえない
もう一度言ってくださいなんて言えず、ただただ団長の綺麗な微笑みに魅いる
漆黒の髪と瞳、こんなに夜が似合う人は他にいないであろう
こんな大きな満月の夜もいいが、月も明かりもない夜が一番似合うのではないだろうか
「仕事だ、行こう」
シャルからの合図で私たちは仕事へ向かう
今日の獲物はブラックサファイアの指輪だ
彼の色に、よく似ている
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