09/09の日記

00:12
今日のわんこU
---------------
こちらのページは
今日のわんこの貼り付けにお使いください。



☆コメント☆
[しの] 09-19 00:00 削除
9月19日 今日のスタッフ
家令

自信を喪失しきっている時に、スタンはミッレペダに捕らわれた。

そして荒み、渇ききった心に毎日降り注ぐように、賞賛の言葉を浴びせられたという。

最初は、女でもあるまいし、と不気味に思っていたスタンも、次第にその作用を受けるようになった。

「セクシーとか、素敵だとか、そういう言葉もあるんですが、ハムがよく言ってくれたのは、いいやつだ、って。頼りになる男だ、ひとを幸せにしてくれるやつだ――って。ぼくはある時、それがたまらなく腹立たしくて、癇癪をおこしたんです」



P.S.今までのコメント欄が10個になったため、今日からこちらにコピペをしようと思います。

[ナイト・オブ・わんわん] 09-20 01:38 削除
9月20日 今日のスタッフ
家令


スタンは少し思い出したのか目を赤くした。

「ぼくは自分のことを役たたずのろくでなしだって、思い込んでましたから。おだてられて腹がたった」

だが、ハムは本気だ、と言ったという。

「おまえはハチャメチャな世界でなんとかよくなろう、よくしよう、と思ってふんばってるタフで善良な男だ。本当のおまえは人好きで、いつも誰かを幸せにしたいと思っている、とびきり気のいいやつだ。おまえは贈り物だぜ。おれは犬を何百と見ているからわかるって」

[ナイト・オブ・わんわん] 09-21 01:13 削除
9月21日 今日のスタッフ
家令



スタンは気恥ずかしそうに笑った。

「今思えば、誰にも当てはまるような言葉だったような気がしますが、あの時、ぼくはガツンときちゃって。

なんか、彼がぼくをずっと見ていて、ぼくの苦労を認めてくれたような気がして、うれしくて泣けて――信じてしまったんです。ぼくはじつはいいやつだったんだって」

それで、だいぶ救われた気がしたらしい。

すると、不思議なことが起きた。アクトーレスだけでなく、ほかの客までが褒めだしたという。

[ナイト・オブ・わんわん] 09-22 00:13 削除
9月22日 今日のスタッフ
家令



スタンは言った。

「ほかのお客様までが、ぼくを神様の贈り物だ、とか、ぼくといると元気が出るとか、言ってくれて、だんだん、ぼくは自分を許せるように、好きになったんです。

そしたら、まわりのひとも好きになって、ゲイもふつうの男もかわらないなって。そして、なんか本当に贈り物になりたくなったんですよ」

ハムはその変化を見て、本格的にフェラなどセ
ックスでつかうテクニックなどを教えた。スタンの飲み込みは早かった。

「ただ、それでも売りだしが近くなると、こわくなって」


ーーーー
【お詫び】今回も 書込み禁止ワードに引っかかりましたので、文章途中を改行してアップさせていただいております。 本文を作者フミウス様のご了承なく改行させて頂きましたこと、お許し下さいませ。

[しの] 09-23 00:00 削除
9月23日 今日のスタッフ
家令

公開の日が近くなると、さすがにスタンも怯えた。ヴィラにはさまざまな客がいる。

ハムはほとんど暴力を使わなかったが、客はそういうわけにはいかない。

狂ったサディストの客に買われたらと思うと、胃がちぢんでものが食べられなかったという。

「でも、ハムが一枚の写真を見せてくれたんです」

見ますか、と彼は唐突に席をたった。戻ってきて、わたしに一枚の写真を手渡した。

胸に迫る写真だった。それは瓦礫の風景だった。

[しの] 09-24 00:03 削除
9月24日 今日のスタッフ
家令

どこか中東の戦場跡だ。
片付けられない家畜の屍骸が残っている。

その中を汚れた少年が大荷物を背負い、歩いている。よく見るとその手に白い花を持っていた。

「ハムが言ったんです。これがおまえ。これがおれ。これがおまえを買う男」

砲弾で砕かれた町の廃墟のなか、家族のために荷を運ぶ少年。誰かのために花を摘んで帰る少年。これがこの世界に生きている男だ、と言った。

「そう思えば、親切にしてやりたいと思わないかって」

[こっそりな一ファン] 09-25 00:00 削除
9月25日 今日のスタッフ
家令



スタンはいとしげに写真を見つめた。

「ぼくは彼の言葉に共感できたんです。これはぼくだっておもった。そして、みんなそうなんだって。

そしたら、恐怖が消えた。誰が買っても、ぼくが幸せにしてやろうってハラが決まったんです」

でも、結局、いい方に買われてラッキーだった、と笑った。
わたしはたずねた。

「いまのご主人様を愛している?」

「ええ、ぼくより彼のほうがぼくへの贈り物です。大切にしたい。神様の使いですよ。彼は」

[ナイト・オブ・わんわん] 09-26 00:01 削除
9月26日 今日のスタッフ
家令



ドムスを出た後、わたしは主人に確認の電話を入れた。主人は盗聴は問題なかった、といったが、それ以上のことは語らなかった。

以来、犬のことで相談してくることもなかった。

ひと月ほどたった時、ようやく主人が連絡してきた。

「スタンを外に出すので手続きしてくれ」

主人の声は明るかった。

「これから選挙戦だ。彼がいれば勇気凛々さ」

叔父の件はどうしたのだろう。

「叔父さんと戦ったよ」

彼が自分から言った。

「スタンはおれのパートナーだ。手をだしたら殺すって」

[ナイト・オブ・わんわん] 09-27 00:01 削除
9月27日 今日のスタッフ
家令



選挙戦を前に、一族の有力者と戦うのは勇気がいったことだろう。

「人生を賭けたよ。だが、その価値はあった」

主人の声には以前とはちがう堂々としたものがある。

「裸一貫でも、嫌がらせされても立候補してやるつもりだった。なにもこわくないさ。スタンだけはぼくを見限らない。スタンがいれば、たとえ一族を放り出されても、楽しくやれるからな」

すると、叔父のほうが折れたのだという。めでたしめでたしだ。

[じゅら☆] 09-28 00:23 削除
9月28日 今日のスタッフ
家令

わたしは後日、アクトーレスのハムにスタンと主人の成り行きを話した。その際に聞いた。

「プレタポルテの犬はみんな、ああして褒めて育てるのかい」

ハムは訂正した。

「褒めるというのは正しくない。正しいのは愛する、だ」

「ほう」

「愛玩犬が欲しいわけだろ。客は。だったら愛情いっぱいの犬を作らなきゃならんじゃないか。たっぷり愛情をそそいで、満たされた犬じゃなきゃ、ほかのやつは愛せないさ」

「理屈はそうだが、結局、褒めて育てる、だろ」

「愛する、だってのに」

ハムは笑った。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ