バージン
□バージン
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もう逃げ場がない。おれは震えながら、イヤイヤをする。しかし、男は黄色い歯をみせて笑い、汗ばんだ手で太ももから腰、腹、胸をなでていく。
(アア)
おれは身をかばい、枕にはりつくように身をまるめる。だが、尻があらわになり、男の目に淫具がさらされる。
『おや、リモコンが――』
ア――、(といいつつ、後ろ手でスイッチを入れる)途端に尻のなかのバイブが狂ったように暴れだした。
「ンくッ、グッ」
いきなり強に入ったらしく内臓が飛び上がる。だが、その振動がペニスの付け根に響き渡り、みるみるペニスがあたたまった。
想像のなかの男たちの視線がペニスにまとわりつく。
「ンンッ、ふ、ん」
おれは鼻にかかったあえぎをもらし、恥じ入って首を振る。
(ああ。見ないで。これはちがう。ちがうんだ)
だが、男たちはすでに熱雲につつまれたように欲情している。ズボンを脱ぎ、血管の浮いたサボテンのようなペニスを突きたてている。
(やめ、やめてくれ)
おれは腰をくねらせ、逃げようとあがく。腰をひねるごとに、かたいバイブが尻の中をあちこちをえぐり、暴れまわる。
(あひ、イイッ、アア)
『これはたまらん。先にもらうぞ』
脂ぎった裸が背中から抱きつく。
(ッ!)
尻の玩具はいつのまにか、荒々しい男のペニスに替わっている。ふとぶととした肉がくねるように押し入り、からだの真ん中で痙攣するように跳ねている。
(アアッ、ハッ、アッ)
太い腕のなかでもがいていると、もうひとりの男が、
『では、わたしはこっちを』
脂ぎった顔が腰にもぐりこもうとする。ぬめった口がおれのペニスを頬張る。
「んふッ」
おれは縛られた膝をふり、身をもがく。だが、男は太ももを抱え込んでしゃぶりつく。
(ヒイッ、イイッ、ああ。やめ、やめろ)
だが、三人目の男がおれの胸に喰らいついてくる。獣の子のように乳首に吸いつき、痛むほどに吸い出す。
「ンンッ、フンンッ、クン」
おれはひとりベッドの上でもがき暴れる。妄想の三人の中年男に張りつかれながら、悲鳴をあげ、腰をふり、そろえた両足をばたつかせて、シーツの上をころげまわる。
(ああ。ダメ。イク。アアッ)
おごそかな痙攣が腰を響き渡り、熱線がペニスを突き抜けていく。
光のような一瞬の歓喜。からだをとりまいていた狂騒が恍惚のうちに蒸発していく。
そして、ただのモーター音がのこる。しわくちゃのシーツ、だらしない鼻息とおもちゃをくわえ込んだばかげた姿の自分が残る。
おれは一抹の嫌悪感を感じつつ、指を伸ばして鍵を探した。