セクシー山賊と犬の王
□冒険編
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というのも、王がまだ赤子のころ、城に旅の予言者が来たことがあった。
フミウスというその高名な予言者は、当時の父王の招きを受け、王子の相を見た。
しばらく王子を見ていた予言者はやがて、ニヤリ。
「なんです。そのスケベな笑いは」
パパ王、不審に思い問いかけてみれば、
「いやいや。王子はお美しくなられますよー。女子に追い回され、男子も恋焦がれ」
「男子はいいんです。為政者として、どうかと聞いているんです」
「為政者として、うん。いけますね」
「かるっ!」
かるくてもなんでも、アレクサンドロスのように周辺国を平定するのはこの赤子と聞き、親バカ大喜び。
「皆の者、予言者様をもてなせー」
「しかしながら――」
予言者はまたスケベな笑いを浮かべつつ、
「なんていったらいいかな。彼はこの城を、うーん、ええ……犬! 犬として出て行くということになりましょう」
「!」
王はそれは魔法か、と詰め寄ったが、予言者はウフフなんて笑って、それ以上言わない。
怒った王は不吉な予言者を打ち首にしてしまったそうな。
しかし、予言者は弟子プサキティウスに巻物をひとつ残していた。
それには、センセーショナルな次の詩が――。
麗しの王ロレンツォは尊き血筋に生まれ、犬として去る。
驕慢な王を滅ぼす者、そは緑林の徒なり。
ロレンツォよ。黄金の鞭と首輪もつ、森の主人ハルキに気をつけよ。
予言者の死後、貴族のサロンではこの詩が話題となった。王が打ち消してまわったため、一時下火となったが、ロレンツォが長じ、その悪行が表立ってくる頃になると、ふたたび、この詩がよみがえった。
そして、貴族の子弟から美しい青年が後宮に徴発されるたびに、
「森の英雄ハルキ様が、いつか救ってくださる」
と人々は待ち望むようになっておった。
「口さがないことよ」
ロレンツォは若い僧の粗衣をまくりあげると、白絹のような尻をむずとつかんだ。尻たぶをふたつに広げ、その穴を明るみにさらす。
「あ、神よ――」
恥じ入り、ゆるしを口にする僧の粘膜は、油で光り、魚の口のように開閉して待ちかねていた。
(みよ。清浄な神の子羊であろうとも、肉の悦びには逆らえぬ)
苦い笑いを浮かべ、ずしりとその尻を犯しつつ、
――かのハルキとやらも、余が女にしてやろう。このように褥に這わせ、尻高くさしださせ、余の情けを乞う奴隷女としてやる。この城から犬となって去るは、かの者ぞ。