バージン
□バージン
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おれは素裸になり、ベッドの上に足をひろげた。ジェルをのせた指で肛門をこじあける。
「ん……」
少しほぐすが、自分の指では欲情しない。ジェルをこってりぬりつけたバイブの頭をもぐりこませる。
かたい無機物が尻肉を押しひろげていく。異物をはさんだ感覚に、にわかにはらわたが色づきはじめる。
次は足かせだ。足首とひざ上の二箇所。ぴったりひざをとじて拘束すると、魚のように腰しか動かせなくなる。
次にさるぐつわ。これが肝心。口にハンカチをつめ、さらにタオルできつくしばれば、人語は話せない。
猥語をしゃべって欲情する人間もいるが、おれはちがう。コトの最中に自分の声など聞いたら、正気に返って自己嫌悪に陥ってしまう。
いまは遊びの時間だ。断固聞きたくない。
さあ、仕上げは手かせだ。もちろん後ろ手。乙女のようなファーつき手錠で拘束し、鍵はベッドサイドテーブルへ。いつか落として青くなった日もあったっけ。
準備完了だ。おれは背中にまわした手でリモコンを握り、ベッドに倒れた。
目をとじておなじみの空想にひたる。
醜い三人の中年男。でっぷり太って、頭はツヤツヤのハゲ。目は豚のように光り、欲深そうな分厚い唇は好色に濡れている。
『これはこれは。粋な接待ですな』
『こころなしか、社長のご子息に似てますが、気のせいかな』
『似てますな。こいつは楽しめそうだ』
脂ぎった指がおれの足首をつかもうとする。
おれはちぢみあがり、シーツを蹴って、ベッドボードのほうへ尺取虫のように逃げる。
三人はすぐにはつかまえない。好色な目をぎらつかせながら、ベッドに迫ってくる。取り囲まれ、おれは囚われの乙女のようにおののき、哀願する。
太い指がおれの太ももに触れる。
(!)