1月映画
□インキュバス
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ふとんに入ってまもなく、やつらの気配がただよいはじめる。
空気の圧力が高くなり、息苦しい。寝返りもうてない。からだ中が高圧の空気におされて、動けない。
いきなりガバとふとんがはがれる。
闇のなかで大勢の眼が見下ろしている。
音にならない哄笑を聞いた気がした。
――ああ。
ぼくは失望した。彼らは退かない。このお守りもダメだった。五千円もしたのに。
彼らはぼくを嘲い、お守りを下げさせたまま、下着ごとパジャマのズボンをおろした。
たまらない屈辱だ。
大勢の眼が見ている。地虫が這うように視線が股をなぞっている。嗤っている。
暗闇のなかから腕が伸び、足首をひっぱりあげられる。下半身が宙に浮いてしまう。
さらに折り曲げられ、太腿が胸につけられる。空中に尻の穴を差し出した格好で、ぼくのからだは折れ曲がっていた。
――もう、やめてくれ!
ぼくは泣きそうになった。
だが、たくさんの指が足をつかんでいた。むくつけき男の手だ。何本あるかわからない。それが足首を太腿をつかみ、股を大きくひらいている。
指が尻たぶを強くつかんでいる。肛門がひらかれ、冷たい空気に触れていた。
――い、いやだ。
すぐにあたたかいものが股を被ってくる。人間のなまあたたかい息。チリチリとかたい髭の感触。含み笑いする空気のにごり。強い視線。
――ああ。
ぬめったものが肛門を舐め始めた。おそましい感触が粘膜を撫でまわす。ぴちゃぴちゃと水音が聞こえる。あたたかい唾液が尻をつたって落ちるのがわかる。
その感触から逃れようと、懸命にからだをひねった。シーツを掴もうとした。だが、指先一本動かない。
――ひっ。
舌が尻のなかに侵入してきた。どこまでも入ってくる。腹のなかまでもぐりこむ。そしてゆるゆると出入りするのだ。
ぼくは必死に足掻いた。
こわかった。
それが尻のなかを出入りするたびに、えもいわれぬ奇怪な感覚が腰にたまっていく。奇怪な、汚らわしい、不気味な甘みが澱のようにふりつもり、脈打った。
――ああ。
ペニスが脈動している。尻の穴を陵辱されて、ぼくは欲情している。
ぼくは待っている。このあと、あたたかい口がペニスをふくんでくれるのを。不埒な霊が愛撫してくれるのを、どこかで期待している。
だが、この日はべつのことが起きた。