悪党クラブ

□第一部
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デミル先生は眉をきつくしかめた。

先生の長い睫毛が絶望で濡れている。それは、離れた席からもわかった。

その唇がわななく。先生の腰のかたいこわばりがわずかに解けている。

先生は小便をもらしている。おむつのなかに。授業中。

何も知らない生徒が得々とラテン語でガリア戦記を読み上げる間、先生は身を抱えるようにしてふるえていた。

耐え切れず、今、もらしたのだ。

重い水がおむつを叩く音が聞こえるようだ。
顔がピンク色に染まっている。時折、抗うように身じろぎするが、止まるものでもないだろう。

椅子に浅く腰掛けた先生の腰は不自然にふくらんでいる。中はどんどん重くなっている。あたたかく、重く。

「ドク、五ポンド」

スタンが肘でつついてわらう。

「おむつ、ぐっしょりだ。ズボンに沁みてくんじゃないか」

おれは五ポンド渡し、

「それより泣くかもしれん」

「かまわないさ。感動してるんだ。教え子の朗読がすばらしすぎるからな」

ひとつ離れた席で仲間が好色な笑いを浮かべて先生を見ていた。

その息が浅く喘いでいる。勃起している男の顔は、上流の子弟も労働者階級も変わらない。ハンサムも秀才もない。生臭い、ずる剥けの、赤肉そのものだ。


「デミル先生、どういうことです。これは」

スタンが指示棒で先生のおむつを突いた。

先生はうつむいている。黒板の前で、ワイシャツとおむつだけの姿で立たされ、鼻先からぽたぽた涙を落とし、答えない。

先生のおむつは外から見ても水分をたっぷり吸って、腰に重く垂れ下がっている。いまはすっかり冷えて、尻に冷たくまとわりついているのだろう。

「あなたは恥ということを知らないのですか。ぼくは我慢なさいと言ったんですよ。皆に見てほしかったのですか」

デミル先生、と指示棒でペニスのふくらみを突くと、先生がすすりあげた。

先生に許しているただひとつの言葉は泣き声だけだ。

おれたちがどれだけなじろうと、責めようと、それは詫びの言葉がほしくてするのではない。これはコース料理の前菜なのだ。これから楽しい主菜が出てくる。先生にできるのは泣くことだけだった。

「先生は恥知らずすぎます。もっとよく躾てもらわないといけませんね」

スタンがこちらを向く。

「『ナニー』は?」
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