銀桂

□数え切れない星達のもとで
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「昔は星がよく見えたもんだがな…」
「……そうだな。」
万事屋のベランダで銀時と桂は涼んでいた。今日も記録的な猛暑が続いた江戸では、夜になった今でも肌に纏わりつく暑さが残っていた。
「そういえば…」
「あ?」
「いや…そういえば昔…先生がご存命のころに…一度だけ二人で星見をしただろう。」
「……そんなことあったっけ?」
「あぁ…あの時も今日のように暑かったな…」



「はぁ…はぁ…」
「銀時、もう少しだ。」
「お前…速すぎ…」
「これぐらいの山、男子たるもの…「はいはい…。」
あれは…そうだ。俺が塾に入りたての頃…ヅラが誘ったんだ。
“ここは星が綺麗なんだ。塾が終わったら見に行こう。”

「さぁ…もう少しだ。」

―その時

「うわっ!!」

ゴロゴロゴロ…

「…ヅラ!?」
ヅラは道を踏み外して転がっていった。
「おい!!大丈夫かよ!!」
「う…」
「おい!!」
「だい…じょうぶだ……うっ…」
「……はぁ」
世話の焼けるヤツ…
「ほら…乗れよ。」
俺が背中を差し出すとヅラは少し戸惑いながらも体を預けた。
「よっこらしょっと……お前軽すぎ…ちゃんと食べてんのかよ。」
「うるさい…っていうかどこへ行くんだ。」
「どこって…お前が星見に行くとか言い出したんだろうが。」
「!?ちょっと待て!!俺をおぶったままか!?」
「誰も見てやしねーよ…お前が綺麗だっていう星空、俺も見てみたいんだ。」
そういうと俺は山の頂に立つべく歩を進めた。

「…ここか?」
「あぁ…上を見てみろ。今日も綺麗だ…」
俺はそっと上を見上げた。
そこには俺の知っている数字では到底数え切れない程の星が散らばっていた。
「ホント…綺麗だな…」
「本当はこの場所、誰にも教えたくなかったんだ。」
ヅラの、俺の腕に回している手に力がこもる。
「…俺、第一号?」
「あぁ…」
それから二人でしばらく星を眺めていた。


「あぁ…思い出したわ、ありましたねぇ…そんなこと。」
「それからちょっとして…戦が始まって…先生が亡くなって。色々ありすぎて結局あの後一度も見に行けなかったな。」
「そうだなぁ……っていうかよぉ、」
銀時は桂をチラリと横目で見た。
「なんで…たってたんだ?」
「……は?」
「だから…俺におぶさってるとき…お前の…その…なんで勃っ「そうだ、エリザベスが酒を用意してくれたんだ。星を見ながら…とはいかないが飲むか?」
「おい…話が「飲むか?」
「……はい。」
今日もかぶき町の星達は汚くも気高く輝いている。
 

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