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□いつもの昼下がり
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いつもと同じ昼下がり。



そして目の前にはいつもと同じ甘味処の、いつもと同じ生クリームたっぷりの魅力的なパフェ。



ただひとつだけいつもと違ったのは、俺の隣に座って団子を頬張るその人物。



「…何ですかィ旦那、何度みられよーとこの団子は渡しやせんぜ」


「いやいや何云ってんの?沖田くんこそさっきからチラッチラこっち見てさー、パフェ食べたいんじゃね?」


「ンな訳ねーでしょ、俺ァこいつで十分でさ」


「俺だってこいつで十分だっつの」



…あ…危ねェェェェ!!



俺そんなに見てた?しかもバレバレ?やべぇ、気を付けねーと…。



…ていうか沖田くん、本当はパフェ食べたいんだろうなー。



云ったそばから時折こっちをチラチラと見てるしね。



全く…なんて可愛い生き物だ。



でもね、銀さんが食べたいのは団子じゃねーの。



だから、どんなに団子を貰おうとこのパフェはあげられねぇ。



その艶やかで柔らかそうな真っ赤な唇、



串を持つ白くて細い綺麗な指、



そして程よく筋肉のついたその華奢な体…



…ほんとうまそう。



沖田くんを食べさせてくれたら、このパフェいくらでもあげちゃうよ?



…なんて。



相変わらず気持ち悪ィな、俺。真っ昼間から何考えてんだか。



今までも幾度となくその衝動にかられはしたが、その度に必死に自分を抑えつけてきた。



けれど、正直なところそれももう限界だったりもして。



…今日は一旦離れないとマジやべェな、ちょっと触られただけでも駄目な気がする。



名残惜しいけど、適当な事云って誤魔化すか…なんて一人頭の中で悶々としていたその時。



「あ、旦那ぁ」



ぺろり



口元に濡れたような暖かい感触。



……………え



「…ん゛?」



何が起きたのか理解出来ず、原因であろう者の方へぎこちなく顔を向けた。



「全く…クリームつけすぎですぜィ。餓鬼じゃねーんだから」


「…えと?あ、は?」


「……あ、べ、別に本当は生クリームが食べたかったから舐めたとかじゃねェですからね。旦那がみっともねーままじゃ可哀想だと思っただけですぜ!!絶対に!ちょ聞いてます?旦那!」



色々云ってるけど嘘だろうね、やっぱり食べたかったんだ?



…でも大事なのはそこじゃない。



さっきの会話でサラリと云われた重要な言葉。



───舐めた?




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