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□緑色の救いの神様
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最近大シマロンに原因不明の病気が流行り始めた。
症状は、乙女のような言葉遣い(〜ですわ)になるというなんとも不思議な病気で、基本魔族はかからないらしいのだが、アーダルベルトはその病気にかかってしまった。
「ねぇ、この病気を治す薬とかはないのかしら?」
意識して出るのではないのでアーダルベルトにはどうにも出来ない。だが、周りの人々は引きまくっている。
「何でそんなに離れるんですの?」
「私、町に行って薬か何か貰って来るわ」
ベルマはその場から逃げるように町に薬を貰いに行った。
「俺も」
「わ、私も…」
「おいらも」
「僕も…」
元山賊の村(?)の仲間達は次々とその場を急ぎ足で去って行った。
残ったのは、純乙女アーダルベルトとキーナンの2人だけとなった。
いつものアーダルベルトなら話し掛けられるのだが、今はかなり話し掛けにくい。
返ってくる返事は全て乙女口調。引かない訳がない。
「あの、ちょっと急用がありまして……失礼します」
立ち去ろうとしたキーナンの腕をアーダルベルトがしっかりと掴んだ。
「待って行かないで…嫌いになってしまったの?私のこと…」
「う……」
鳥肌立ちまくり。想像してみよう、あのアーダルベルトが乙女口調でこの台詞。ポニのおとぉさまのアーダルベルトバージョンと考えてもいいです。
病気が進行すると口調だけではなく仕草まで乙女になるという噂があった。今はまさにその状態。
さっきまで男って感じの座り方だったのに、乙女座りをしている。手も割れた顎に当てて、目もうるうるしている。
「貴方…私の病気を治そうという気はあるのかしら?」
意識はもうろうとしているらしく、病気を治して欲しいという気はかなりあるらしい。
「町に行った連中が戻って来るまでお待ちください。」
「そんなの待てないわ!」
アーダルベル子は立ち上がるとベルマの化粧品を使い、化粧を始めた。
「アーダルベルト様…何をなさってるのですか?」
「見て分からないの?化粧よ化粧。皆を驚かせようかと思って」
驚く前に数人失神者が出るのは間違いないだろう。
化粧し終わったアーダルベル子さんは、ドレスを選び始めた。病気はかなり悪化しているらしい。
「桃色もいいけど、赤もいいわね。ねぇ、私何色が似合うかしら?」
「……赤、ですかね」
「やっぱりー?じゃ、赤にしようかしら」
アーダルベル子さんは部屋に着替えに行った。部屋に入る前にキーナンに注意をしていった。
「覗かないでよ?」
誰が覗くか。