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□風の行方
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大シマロンのとある家。見た目は至って普通なのだが、問題は住んでいる者達が悪そうな顔をしていて、近所でも噂になっていた。

子供達の間では『青い風の秘密基地』という名前が勝手に付けられていた。



「ふざけんなー!!」




『青い風の秘密基地』から男の怒声が聞こえた。声の主はアーダルベルト。

怒りの対象はウェラー卿コンラートだ。

コンラートは青い服に身を包んでいる。テーブルの上には様々な色の服とマントが山の様に置かれている。



「別にいいじゃないか。同じようなものを着た方が威厳があるだろうし」

「威厳以前の問題だ!そんな(ダサい)服着れるか!」

「まあまあ、隊長も若旦那も落ち着いて」



呆れた様子のヨザックが仲裁に入った。とりあえず、その場はなんとか落ち着いた。

コンラートは部屋の隅っこでいじけている。床に‘の’の字を書いている、羽ペンで。



「何してんだコンラッド!」

「着てくれたら…やめるよ」



アーダルベルト側、拒否権無し。

ちなみにヨザックの衣装もある。オレンジ色の服と黄色いマントが。カレーパン男を思い出させる。

コンラートがルンルン気分で服を一人一人に渡していく。



「着替えたら言えよ。」









数分後…

アーダルベルトは紫の風。キーナンは藍の風。ベルマは紅の風、ヨザックはオレンジの風と化した。皆嫌そうな顔をしている。



「いいじゃないか、似合ってるよ」



コンラートのセンスを疑いたくなったアーダルベルトだったが、追及するのはやめることにした。後で面倒なことには巻き込まれたくないからだ。



「ところでコンラッド、この服買う金はどうしたんだ?」



皆が一番気になっている、金の出所。



「自分の金に決まっているだろ?」



コンラートは笑顔で答えた。彼の場合、その笑顔が怪しい。



「本当に自分の金か?」

「どうして嘘つく必要があるんだ。頑張って貯めてきたれっきとした俺の金だよ」

「昔は色んな奴から借金する程やぐされてたのに…変わったな」

「あ、そういえば金返してなかったな。ありがとうアーダルベルト。」



コンラートは小さな包みをアーダルベルトに渡した。



「……気色悪ぃな…笑顔で渡されると…」



コンラートは満面の笑顔でアーダルベルトを見つめている。はっきり言って、気味が悪い。
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