マB

□最高の褒め言葉
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寝起きのアーダルベルトの髪はボサボサだ。自慢のオールバックをセットしようとリビングにある整髪料を取りに行った。

まだ朝が寒い時期、素足で歩くには床が冷たすぎる。

早く整髪料を持って部屋に戻ろう、そう考えながらリビングへ行くと灯りがついていることに気付いた。

こっそり覗いてみるとテーブルに向かい合って座る人影がある。

一つは見慣れた部下の影、もう一つは……



「オーウィル!?」

「おやまぁ、アーダルベルトさんお久しぶり〜」



キーナンの知り合いで小説家のオーウィルが何故かいたことにアーダルベルトは驚きを隠せない。

以前小説のネタにされ、散々だった。あれ以来だ。



「どうしてここにいるんだ…?」

「青い風を題材にして恋愛ものを書こうと思って」

「連れて来たのか」

「いえ…尾行されてたみたいで…すみません」

「キーナンが気にすることじゃないよ、気にしない気にしない。僕は気にしてないからさ」

「てめぇは気にしろ」



ストーカーまがいなことを平然とやってのけるオーウィル。美形じゃなかったら今頃捕まっていただろう。


ネタがなくなる度にキーナンに泣きついてはアーダルベルトに迷惑をかけて去って行く、嵐のような人物だ。そのため、アーダルベルトはオーウィルが苦手である。



「そーだ!アーダルベルトさん、また僕の小説に出してもいい?」

「ふざけんな、てめぇ前回のこと許した訳じゃねーからな」

「ふえぇっ…」

「な、なんで泣く?!」


まさかの涙にアーダルベルトは焦りまくりだ。


「アーダルベルト様、それウソ泣きです」

「なんでバラしちゃうんだよぉ」

「オーウィル」

「へにょ!?」



アーダルベルトの一切躊躇いのない拳がオーウィルを直撃した。

ウソ泣きをバラしたキーナンは痛みにもがく知人の頭を撫でて無言で『痛いの痛いの飛んでけ』をしあげている。



「キーナン…君はやっぱり優しくて良い友人だよ」

「友人になった覚えはないけど…まぁいいか」

「アーダルベルトさんの妾になんて勿体ない、僕のところに嫁においで」

「ちょっと待て」



ツッコミ処が満載で色々と追いつかない。



「アーダルベルト様と俺はそんな関係じゃない」

「そうなの?!ごめん、勘違いしてた」

「それにお前みたいな奴のところになんか嫁にも婿にも出さんけどな」

「なにそれ。結婚するかどうか決めるのは本人だと思うんだけど」



何故かキーナンの結婚話へと進行していた。オーウィルにとっては大問題らしい、本人にはえらい迷惑な話題だが。

嫁または婿に出す出さないでもめるアーダルベルトとオーウィル。二人の間に見えない火花が散っていた。



「…ウェラー卿に会いに来たんじゃないのか?」

「あ、そうそう忘れてた。青い風本人に取材しに来たんだった。アーダルベルトさんが淫乱で困っちゃうよ」

「俺の何処が淫乱なんだ?!」

「アーダルベルト様落ち着いてください」

「僕の最高の褒め言葉だけど?淫乱アーダルベルトさん♪」

「お前今ここで切り捨てるっ!」

「落ち着いてくださいって、オーウィルも火に油を注ぐな」

「じゃあさ次書く予定の官能小説の主従に二人採用するね」

「青い風じゃないのか…?」

「自称正義の味方・青い風が仲間を無理矢理犯して自分の奴隷にしちゃうっていう……あれ?どうして二人共剣抜いてんの?」

「ここで食い止めとけば連載はされないよな?」

「シンニチに投稿出来ないくらいまでなら大丈夫ですよ」

「え?何キミ達青い風に犯される設定イヤなの?じゃあ仕方ない、アーダルベルトさんとキーナンで形勢逆転話にでもするよ。ちなみにアーダルベルトさんは襲い受けね」

「やっぱり息の根を止めた方がよさそうだ。」



その後、青い風を題材にした子供向け小説が連載された。

作者はもちろんオーウィル。何故か官能モノはしばらく書きたくないとブツブツ呟いているらしい、その姿は全身包帯だらけだったとか…




あとがき

スマホに替えてからの一作目。
オーウィル再び!
性別は決めていませんので「僕っ娘」なり「ショタっぽい青年」なり、好きに想像しちゃってください
コピペができるようになるまでこの調子です。ご迷惑かけます

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