マ(捏造未来)
□The Beginning of a New Epoch
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大シマロンの王は昔から魔族を滅ぼそうと企ててきた。
前王ランジールもその1人であった。
臣下に冷たい目で見られる時もあれば、国民から物を投げられる時もあった。
王位継承者を次々と暗殺したその王は史上最低の王であると歴史は綴っている。
ランジールのやり方に異論を唱えたのは、グスター・グランヴィーア。フィリエムとシャンディの父親であり、ランジールの側近でもあるこの男はランジールのやり方を強く批判した。
その結果、反逆者と見なされ死罪にされてしまった。
幼い弟と病気の母を守るため、フィリエムは城の使用人として働きながら家族を養った。
ランジールに対する憎しみを抱きながら毎日毎日家族の事だけを想い、休む事なく働き続けていた。
そんなある日…
「フィリエム!大変だぞ」
「レットさん?走っちゃまた苦しくなっちゃいますよ」
「ぜぃぜぃ……た、大変なんだ…」
「とりあえず水飲んでください。僕のですがどうぞ」
「す、すまん…」
レットは軽い肺炎持ちで、激しい運動をするとすぐ苦しくなってしまう。
フィリエムは仲間の使用人達の名前、家族、病気の事などまるで自分の事のように心配してくれる。
仲間達の間ではフィリエムは将来大物になるとまで言われている。