マA
□君と僕の心の距離
1ページ/3ページ
生きてれば誰だって病気になる。
風邪を引いたり、頭が痛かったり、お腹が痛かったり…
病気にならない生き物なんていないんです。
秋風が吹き、静寂を保っていた森の中。
「へっくし!」
1つのくしゃみが静寂を破った。
くしゃみに驚いた鳥達がバサバサと飛んでいく。
秋の果物を採りに森に来たアーダルベルトとキーナン。ベルマは寒いから行きたくないと、お留守番。
冷たい風が吹き抜ける森の中の気温は、まるで冷蔵庫の中のよう。
赤く熟した木の実をカゴの中に入れていく作業の最中に、またくしゃみ1つ。
「へくしっ!」
「……キーナン…寒いなら帰っててもいいんだぞ?」
綺麗なものか汚れたものかを判断しながらカゴに入れているアーダルベルトは、優しい口調だ。
「いえ、これぐらいの寒さ…大丈夫です」
「…鼻水出てるぞ」
「えっ…」
「ったく…ちゃんと上に着て来いって言っただろう?」
自らが着ていたマントをキーナンに被せた。
これは着ろという意味。
小言を言いながらも、こういう事を普通にしてくれる、アーダルベルト。
彼が慕われるのは、強さだけでなく、優しさもあるからであろう。
「それ以上酷くならないように暖かくしてろ」
「ありがとうございます…」