GX

□スキアリ
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「ぷっはぁっ!あちー!」

購買で買ったジュースを手に、廊下を進む。
初夏のころ、今日も気温は30度を超え、学園の生徒は皆ダラダラといつも通りの日々をおくっていた。

「なぁ、万丈目ぇ。お前こんなあちーのによくそんなコート着てられんなぁ……」

隣のアイツはというと、相も変わらず紫のタートルネックに黒のコートを羽織っている。
なんだが見てるこっちが暑苦しい。

「貴様とは鍛え方が違うからな」

ふふんと鼻を鳴らし、楽しそうに口角を釣り上げる。
はいはいそうですかー、と曖昧な返事を返せば、真っ白な手のひらがオレの頭を直撃した。

「いって!なぁにすんだよ!」

「貴様が人の話を聞かんからだろう!」

腕を組んで、ふんっとそっぽを向く。
子供みたいにすぐに拗ねてしまうのは、コイツの癖みたいなもんで、何だかもう日常茶飯事だ。

「悪かったって。なー、熱いし海でも行こうぜ。翔とか明日香も誘ってさ」

彼女の名前が聞こえたせいか、ぴくんと猫の耳の様な髪が反応する。
そっぽを向いたままの状態で、少し照れ笑いを含めながら腕を解いた。

「まぁ、行ってやらんこともないな」

謙った言い方にオレは小さく苦笑い。
ったく、行きたきゃもっと素直になればいいのに。

なんだかちょっぴり楽しそうな彼に、胸の中がチクッと痛む。
案外オレって嫉妬深いかも。

「あ、そうだ。その時は絶対さ……」

周りに人がいないことを確認すると、そっと唇を寄せる。



「隙を見てキスしようか」



唇が触れた瞬間に、目を丸くして、かああっと耳まで真っ赤にする。
そのあと急に眉間にしわを寄せたと思ったら、またもや頭に痛みが走った。

「今のはどう説明する気だ!」

コートの袖で唇を拭うと、一目散にオレの元からかけていく。
あーあ。また拗ねられちゃった。

だって仕方ないだろ。
隙を見てっていうけれど、お前っていつも隙だらけだから。

end


前半の意味のなさ。


 

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