GX
□遠いね
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相手のターンが終わり、万丈目のターンが回ってくる。
万丈目の手札は3枚。
遠目で見る限りでは全て魔法カードのようである。
次のターンでモンスターを引かないといけないわけだが……。
相手の場にはサイバー・ジムナティクスが守備表示で存在している。
ちなみに守備力は1800と、そこそこのモンスターでは破壊できない。
『オレのターン、ドロー!』
懐かしい声。
高くも低くもなく、優しく、そして心地よい不思議な声。
『オレは手札より、フィールド魔法おジャマ・カントリーを発動!このカードの効果により手札一枚を墓地に送る。オレが送るのはおジャマジック!デッキからオジャマ三兄弟を手札に加え、融合を発動!オジャマ・キングを攻撃表示で融合召喚!』
相変わらずおジャマ三兄弟は健在らしい。
画面の向こうでふよふよと漂うアイツ等がとても懐かしい。
『攻撃力0のモンスターじゃ、オレのサイバー・ジムナティクスを破壊することすらできないぜ!』
相手の挑発に、ふっと鼻で笑いながら、得意げな表情で話し出す。
『教えてやろうか?おジャマ・カントリーのもう一つの効果、それは……。フィールド場のすべてのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える!よって、おジャマ・キングの攻撃力は……!』
『3000っ!』
『そしてオレはもう一つ、手札より装備魔法メテオ・ストライクを発動!装備したモンスターの攻撃力が、相手モンスターの守備力を上回っていれば、貫通ダメージを与えることができる!さぁ、行け!おジャマ・キングっ!』
うおおおっと画面の向こうでは溢れんばかりの拍手喝采。
相手のLPは0になり、万丈目の勝利で終わった。
すると、先ほどまで地面に座り込んでいた少年たちが一斉に立ち上がる。
あぁ。
それもまだ健在なんだな。
『いくぞ!一、十、百、千!』
「万丈目サンダー!!」
テレビの向こうとこちら、両方の声が合わさる。
一緒につられて叫んでしまったらしいユベルに、ニコッと笑顔を向ければ、恥ずかしそうに消えてしまった。
やっぱ、アイツはすげーや。
「サンダーってすごいね、お兄ちゃん!」
「あぁ。そりゃあ、オレの誇りだからな」
「ほこり……?」
「そ。大切な、大切な……親友」
「お友達なの!?すごーい!」
すごーい、すごーいと子供たちが寄ってたかって、抱きついてくる。
友達、親友。
自分で言っておきながら、本当はもっと違う存在なのかもしれない。
いや、多分、誰よりもそれは分かっている。
「ほら、もう真っ暗だ。家の人たちが心配しちゃうぜ」
「うん!またね、お兄ちゃん!」
「バイバイ!」
可愛らしい手を振り、かけていく彼らにそっと手を振りかざすと彼らとは逆方向に歩み始める。
風の進むまま、どこまでもと。
「十代、やっぱり、逢いたいんだ」
「まぁ、そうかもな。取り敢えずはアイツに見合う男になるのが最優先だな」
「十代は十分イイ男だよ。彼もそう思ってる」
「へへっ!ありがとな、ユベル」
白い息を吐きながら、寒さも忘れて走り出す。
ユベルの言葉で昔の自分を少し思い出した気がする。
やはり自分の好きなことをするのが最優先だ。
「次の街へ出発だ!」
「十代に愛される君が羨ましいよ……」
「ん?何か言ったか?」
「僕が万丈目をとっちゃおうかなって話し」
「あー、ひでぇ!」
end
ユベルの口調が分からないです……。
ユベル可愛いよ、ユベルっ!
おジャマ・カントリーとブルー、レッドがカード化したので記念に。
メテオ・ストライクより、融合解除のほうがよかった気もします。
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