GX
□この恋、きみ色
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子供のころから、自分はヒーローになるのが夢だった。
だって、大切な人を守るためなら素直に体を張って守ってみせる。
むちゃくちゃカッコイイじゃねぇか!
いつか自分もそんな風になれたらなって。
いつか自分にも、そんな守りたいと思えるような人間が出来たらなって。
子供のころからずっと、思っていたんだ……。
「万丈目……」
万丈目のお兄さん達が帰った後、取り残されたオレ達二人。
彼はその場を動こうともせず、遠くを見つめていた。
デュエルは楽しいもんだって。
誰かの期待を背負ってやっていくもんじゃないって。
オレとのデュエルで気づいてくれたのかな?
負けて、お兄さん達に色々言われて、そんなお前を守らなきゃって思って……。
オレがかけたお節介。
恥、かかせちまったよな。
ただ、お前のヒーローになりたかっただけなのに。
「さんだ。なんだ十代?貴様は帰らないのか?」
「お前を連れて行くまで帰らない」
「……。そうか」
クスリと口角を上げ微笑む万丈目。
その姿に胸の奥を貫くような電撃が走った。
「なぁ、万丈目……」
二回目にお前を呼んだときには、その細い体を抱きしめていた。
彼の瞳が、動揺し見開かれる。
「オレ……。お前の、万丈目の本物のヒーローになりてぇ。どこまでも、お前を守れる本物のヒーローになりてぇ」
子供みたいに万丈目の肩に顔をうずめ、囁く。
告白っていうより、プロポーズみたいな言葉だな。
「きっ、貴様はいったい何を言い出すんだ!」
「そのまんまだ。万丈目、お前が好きだって」
「……っ!」
耳まで真っ赤に染まらせて、唇を噛みしめて。
照れ隠しにむにっとオレの頬をつねる。
「っ、こんの馬鹿野郎っ!」
背中にまわされる優しい腕に、オレは期待してもいいのかな?
この恋、きみ色
「顔、真っ赤だな」って言ったら、お前は「夕陽のせいだ」って反論したな。
end
サンダーの復活にはかなり心踊らされました。
兄者というコンプレックスを抱えながらも、皆に支えられていけばいいなと思います。
プライドは高くたって、少しは涙見せてもいいんだよ、サンダー!
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