GX

□君と一緒なら
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シーンと静まり返った教室。
時折聞こえるシャープペンシルを走らせる音だけが、妙に大きく聞こえる。

筆記のテストだとかなんとかで、分かりもしない問題を解くあてもなく、ただただ暇を持て余していた。
空白ばかりの回答欄なんて気にも留めない。
だってデュエルは楽しいもんだろ?
筆記のテストなんて楽しくもなんともないじゃん。

ちらりと後ろに目線を送れば、真剣に問題を解く万丈目の姿。
難問が出るたびに、眉間に皺をよせ、唇を噛む姿が色濃く脳裏に映し出される。


見とれていると、ギロリと漆黒の瞳がオレを捕えた。


「そんな睨むなって。カンニングとか、そんなんじゃないからさ!」


最大限に声を抑えてそっと告げる。
万丈目は何も言わないまま、止まっていた指を動かし始めた。

それはそれで、何だが寂しい。


「なぁ、まんじょーめー。テストって楽しいか?」


ピクリ。
肩が揺れる。

『そんなわけないだろう』と問題用紙に丁寧な文字。
そんな返事の返し方に心が躍る。
不思議で、かつとても嬉しくてたまらない。


「じゃあ、何で真剣なんだよ?」


また、細い指が文字をつづる。
『オレ様の勝手だ』
吹き出してしまいそうになった。
ただ単に、一位じゃなきゃイヤなんだろ?


「ふーん。じゃあさ、万丈……」


とっさに黒い影がオレを覆う。
そろぉっと振り向いてみれば、鬼の形相をしたクロノス先生が仁王立ちしていた。


「今はテスト中なノーネ!二人とも廊下に立ってるノーネ!」

「オ、オレは違う!教諭、放してください!うぅっ……。全部、コイツのせいだ!」

「まぁまぁ。落ち着けって」

「落ち着いていられるか!」


テスト中にも限らず、大声を張り上げる万丈目。
周りからはじとーっと嫌な目線が突き刺さる。


「問答無用なノーネ!」


クロノス先生は、オレと万丈目の首根っこを掴むと、そのままぽいっと廊下に放り出す。
バタンと教室のドアが大きな音を立てて閉まった。


「っ……!十代!貴様ぁ!」

「おっ、怒んなよ!な、どうせつまんないしいいだろ?」

「いいわけあるか!貴様のせいで成績が下がってしまったらどうするつもりだ!」

「レッドなのに?」

「うるさぁい!」


今にも飛び掛りそうな勢いで詰め寄ってくる。
それと同時に、チャイムが音を上げた。


「さぁて、クロノス先生に謝りにいくか!」

「貴様のせいだぞ!」


ぞろぞろと教室を出る生徒達をかきわけて、中に入る。
クロノス先生の手には、およそ30枚ほどの400字詰め原稿用紙が握られていた。


「貴様は何故そんなに嬉しそうな顔をしているんだ!」

「えー、だって……」



反省文を書いている間だけは、君と一緒にいれるから。

end


アニメの二人の雰囲気がすごく好きです!
書くのはかなりむずかしぃいい!


 

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