GX

□残念ながらべた惚れ
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「あぁっ!貴様っ!また人のエビフライを!」

「ちょっとぐらい、いいじゃねーかぁ……」

「貴様の少しは少しに入らん!」


尻尾の先から数センチ。
殆ど食する部分の残っていないエビフライを、器用に箸で掴んだままムスッと頬を膨らませる。

何というか、万丈目が食べようとしていたそれが自分のよりおいしそうに見えて……。
気がついたらかぶりついていた。


「そんな怒んなよー。オレのやるから、な」

「な、じゃない!貴様には前科があるんだぞ!一本じゃ足りるか!」


そういえば先月も、エビフライがでた日にこうやって取り合いをしてたっけ。
レッド寮の数少ない豪華なおかずだし、月一でしか食べることが出来ないし……ってなんだかそれだけではない気がする。


「じゃあ、オレの二本やるよ。だから、万丈目のももう一本ちょーだい」

「それだと替わらないだろう!オレが言ったのは、先月貴様が食べた分を返せと言っているんだ!」

「えー。けちー」

「誰がケチだ!誰が!」


箸で摘まんでいた、ほぼ尻尾しか残っていないそのエビフライを一口で頬張る万丈目。
食べ終わるとニヤリと歯を見せ、箸をオレの皿へと忍ばせた。


「おっと!そうはさせないぜ!」

「っ!貴様ぁっ!」


オレは間一髪で腕を捕まえると、勢い余って立ちあがってしまった万丈目を席につかせる。
またもやムスッと頬を膨らませる万丈目の皿に、オレはさっとエビフライを一本乗せた。


残念ながらべた惚れ


間接キスだなんて、

(言ったら怒られるんだろうな)
(恥ずかしくて言えるか馬鹿!)

end



二人とも!それはエビフライじゃなくて、エビ天だ!
と思うのは私だけ……?(笑)


 

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