GX
□気になるアイツは好敵手
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「なぁ、翔もそう思うだろ?さっきの勝負はオレの勝ち!」
熱い興奮が冷めないままレッド寮に帰ってきたオレは、熱の逃げ場を無くした体を冷ますため夜風に当たっていた。
海の見える崖の上に立ち、そこに腰掛ける翔に笑顔で問いかける。
翔はあながち興味のなさそうな声で、そうッスねと返事をするだけだった。
「なんだよぉ……。すんげぇワクワクするデュエルだったろ?そんな冷めんなって!」
バンっと背中を叩いてやれば、小さな体がふらふらっと揺れる。
「うおおおおおっ!あぶねっ!」
崖から落ちそうになった体を支えてやれば、顔から滝のように汗を流し真っ青になる翔がいた。
「兄貴の馬鹿!危うく転落するところだったんスからね!」
「悪ぃ、悪ぃ。つい、さっきのこと考えちまったらまた体が熱くなっちまってさ」
少し考えただけでも顔がニヤける。
あの時、あの傲慢で高飛車な彼を倒していたら、彼の眼は自然とオレに向けられていたのかもしれない。
去り際にはオレに興味すら示していなかったように思える彼が、オレに少しでも視線を向けていたらどんなにこの先楽しいことが待ちうけているのだろうか。
あぁ、ダメだ。
考えたらまた顔がニヤけちまう。
「本当、デュエル好きッスよね。万丈目さんとでも楽しんでしちゃうなんて」
「あったりまえだろ!アイツだからこそ、燃えられることもあるんだぜ?」
ガッツポーズを決めてみせれば、頭をかかえてため息をつかれる。
ぽけーっと水平線を見つめる翔に目をぱちくりさせるだけだった。
ドカッと地面に腰をおろし、深い息をつく。
空を見上げれば、輝く星たちが自分を見つめていた。
「よっしゃー!明日、もう一回デュエル申し込んでやる!」
「えー!またやるんッスか?万丈目さんに怒られるッスよ!」
「んなの気にしてられっか!絶対、今度は白黒つけてやる!」
両手を上げ、そのまま地面に倒れこむ。
冷たい風が、そっと髪を撫でた。
「もし負けちゃったらどうする気ッスか?」
「負けても勝っても、楽しいもんがデュエルだろ?それに、オレは勝つからな!」
待ってろよ、万丈目ぇ!
空に向けて打ち上げた言葉は、星たちに飲み込まれていった。
もう一度体を起こすと、スクっと立ちあがる。
「兄貴らしいッスね」
「ん?何か言ったか?」
「何にも言ってないッス。ほら、早く戻るッスよ!朝ご飯に間に合わなくなっちゃうッス」
「あー!まだ寝てねぇ!忘れったぁ!」
大声を出して頭をかきむしれば、また小さなため息が聞こえた。
end
万丈目さん出てこないという……。
一番最初は、翔は万丈目さんって呼んでた気がするんですが……。
気のせいでしょうか?
あと、このお話って、OCGだと死者蘇生ではFWMを蘇らすことってできなかったような……。
これも気のせいでしょうか(笑)
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