捧げもの
□魔法のシンデレラ
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オレは昔から夢を見すぎている。
もしかすれば、自分を迎えにくる王子様がいるかもしれない、とか。
もしかすれば、こんな自分を可愛いと言ってくれるヤツがいるかもしれない、とか…。
そう、夢を見すぎていた。
けれどもオレは、あるヤツを好きになった。
自分には特別な存在だった。
昔はへなちょこなんて言われ、近くに女なんていなかった。
アイツの隣は、オレの特等席だった。
それなのに…。
あれからアイツは成長しすぎたんだ。
女なら誰でも振り返る様な、甘いマスク。
母性本能をくすぐる、高い美声。
鍛えられた身体に、いつの間にかついた脳。
全てが完璧になっていった。
時々見せる、昔のへなちょこだった姿なんて、今では全てにおいての引き立て役だ。
そう、オレは夢を見すぎているんだ。
今も好きだ。
けれど、好きと言ったところでなんになる?
笑ってごまかされるだろうか?
それとも、その場でズタズタにふられるだろうか?
そんな事わかっていても、今更好きなヤツを替えることなんて出来ない。
約十年の片思い。
いつまで経っても片思いでいい。
ただ…。
ずっとお前の傍にいたいんだ…。
、