お題小説

□まだドキドキしてる
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秋と冬との変わり目の季節。
一気に寒さは増し、体育の秋だなんて呼ばれた季節は一体どこへ行ったのやら……。


黒のロングコートを羽織り、ふわふわと毛の付いたフードをかぶる。
寒そうに手をこすり合わせて、はぁあっと吐息をかけるその姿には、必ずしも目が行ってしまう。


「寒そうだな、スクアーロ」

「ったりめぇだぁ!オレはてめぇが思ってる以上に寒がりなんだよ!」


さみぃ、さみぃと鼻の頭を真っ赤にしながら訴えかける。
ぎゅむっと鼻をつまんでやれば、女とは思えない色気のない声が返ってきた。


「何すんだよ!いってぇ……」

本当に痛かったのか、涙目になりながら鼻の頭をさする。
そういえば、昔もこんなことがあった気がする……。


「わりぃって。なぁ、スク、もしかして今日、あの日じゃね?お前は覚えてねぇかもしれないけど」

「んあ?今日って……」


心当たりがあるのかないのか。
目を泳がせながら、頭の中を模索しているようだった。


「覚えてねぇか……。結構、前だもっ!」

「馬鹿がぁ!誰が忘れるかよぉ!」


唇には柔らかな感触。
恥ずかしかったのか、バフっと胸元に顔をうずめる。
女の子らしい柔らかな身体が、とても温かかった。


「ははっ。流石スクだな。今日はお前と、初めて唇を合わせた日だもんな」

ニカっと笑って見せれば、さらに強く強く押し付けてくる。
髪型がぐちゃぐちゃになってしまうってことにすら気が付いていないようだ。


「ファーストキスはレモンの味がするらしいぜ。スクは覚えてっか?」

「んなもん、あれから何度キスしたと思ってんだぁ!覚えてるわけねぇだろ!」


さっきのキスも、今までのキスも、これから先のキスも。
いつも、いつだってオレ達にとってはファーストキスだもんな。

レモンの味っつーか、どっちかっていうと、砂糖だな。
いつまでたっても、口ん中が甘ったるいぜ。


「スクの心音すげぇ……」

「お前だって、ドキドキしてんだろぉがぁ!」

「当たり前だろ?」


だって、君と初めて逢った時から、このドキドキはおさまっていないのだから。

end

あまぁいお話が書きたかったんです(笑)
ただいちゃいちゃしてるだけですいません^^;


 

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