お題小説

□君が泣いてしまうから、そばにいなきゃと思ってた
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「ったく、てめぇはまた泣いてんのかぁ?いい加減男らしくしやがれぇ!」

「うっ、うるさい!オレは好きでこんな学校に入ったわけじゃねぇもん!」

部屋の隅。

駄々をこねるアイツに近づけば、ツンと横を向く。


「何拗ねてんだぁ…。オレが何かしたってのかよぉ…。」

「した。オレにいじわる。」

ぷくっと、リスのように口を膨らませ、真っ赤になった瞳をごしごしと手で擦る。


「てめぇ、目ぇ腫れてんじゃねぇかぁ!もう、こすんなぁ!」

ディーノの細い腕を掴み、ばっと瞳から離させる。


「ははっ!やっとスクが違う顔した。」

「あぁん?」

「あのね、スクの表情がころころ変わるの、オレ好きなんだ。初めて、スクの笑顔見たときからずっと。」


わけの分からないことをいうディーノに少しばかりの殺意を覚えつつも、観念して頭を撫でてやる。

すると、まるで猫のように目を細めた。


「ねぇ、スク笑ってよ!オレ、スクの笑顔好きなんだ。」

目の前で咲く大きなひまわり。

そんな風にも見える、ディーノの笑顔。


「はんっ!一人で言っときやがれ!」

「むぅ…。じゃあ、にらめっこしよう!」

「知るかぁ!」

「えー…。」

しゅんとうなだれるディーノを見れば、自然と自分の口角が上がった。


「あっ、笑った!ははっ。やっぱり、スクは笑った顔が一番だよ!」

お前の笑顔が一番だよ。

なんて、言える勇気が自分にあれば、きっと…。




「あーあ…。でもさ、オレもうすぐ学校やめんだよなぁ…。」


そう言い出した彼を笑顔で見送れるはずだった。

君が泣いてしまうから、そばにいなきゃって思った。

けれど…。


いつの間にか、自分が泣かされる事になっていたんだ。

end

微妙ですね…。
精進します。


 

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