薄桜鬼
□聴こえたんだ…
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歩く。森の奥深くを歩く。
足取りが重くなっている千鶴ちゃんを気遣いながら夜の森を足を止める事なく歩いていく。
「…千鶴ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫です…」
同じ質問を数刻に1回聞き、千鶴ちゃんが大丈夫と言う言葉が震えていると分かった。
「…わ、沖田さんどうしたんですか…?」
急に僕が足を止めると心配そうに僕を見つめる千鶴ちゃん。
僕のことを心配してくれるのはすごく嬉しいことでどのくらい心の支えになってるだろう。
…でも、
「僕の心配より君自身の心配したら…?」
「…え?」
「辛いんだよね。顔色よくないし。」
「だ、大丈夫です。早く土方さんたちに追いつかないと…」
嗚呼、どうして千鶴ちゃんはいつも僕のことを心配するんだろう。
「いい。少し休もう。」
「…でもっ!」
僕はグッと千鶴ちゃんを抱きしめた。
小さく震える彼女の体を深く、深く…
「…大丈夫。」
そう呟いて木に背持たれて座り込んだ。千鶴ちゃんは規則正しく息をして瞳を閉じていた。
僕も少し休もうかと目を瞑る刹那
「…沖田さん」
僕の名前を呟く君の声が聴こえたんだ…
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