デュラララ!!

□「恋」
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空を見上げると新宿の空は暗く曇っていた。
そんな空を見上げて隣を歩いている彼は満足そうな笑みを浮かべていた。
それにあえて私は触れない。それが彼と一緒にいる義務だからだ。

「ねぇ、亜子は人間ってどう思ってんの?」
「…酷くて残酷で脆いと思います」

彼は人間を愛している。私はその一部分にしか過ぎない。

「亜子は人間が嫌い。でも俺のことは好き。…君の中で俺は人間じゃあないのかな?」

でも私は人間が嫌いだ。理屈を重ね、強がり、自分を美化する
偽りの姿。もちろん、自分のことだって嫌いだ。

でも、彼は違う。
どうしてだろうか?

「臨也さんは確かに人間です」
「ほーう…じゃあ、何で俺のことが好きなのかな?」

どうしてだろうか、そんなの私には分からないし今まで考えても無かった。
寧ろ、彼のことを好きという私の感情が
彼にバレていること自体とても驚いて思考が止まってしまうのに、
理由を尋ねられ答えようにも答えが出ない。


「…私にも、よく分かりません。なんで臨也さんが好きなのか…」

はははっ!彼の甲高い笑い声が暗い空の上に突き抜けるように
耳の中に入り響く。すると、笑みを浮かべ興味深そうに言った。

「亜子、それは恋というんだよ。」


彼は笑いながら“来なよ”と言って雨の雫が顔に落ちる前に
私は彼に引かれ、初めて彼の家へと足を踏み入れた。


「恋」
今までなんとなく人から聞いていた話はいつか自分のものになるなんて思わなかった。




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