デュラララ!!

□大人の味ね
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2月14日、私は小さな筒箱をもって
臨也の家の前に立っている。
そう、今日は年一度のバレンタインデー
新宿に来るまでの道のりはどこもが
バレンタイン一色。

「…臨也いるかな。」

もちろん、臨也には内緒。
いわゆるサプライズバレンタインデー
私は少し躊躇いながらもインターホンを押した。

「あれ、珍しいなー。連絡なしで君がここに遊びに来るなんて」

それからしばらく扉の前で立っていると
玄関が開き、私を見た臨也は少し驚いたような顔で言った。

「ふふ、たまには突然訪問もありでしょ?!」
「まあね。取り敢えず中に入りなよ。」
「うん、お邪魔します」

ここまでは気づかれていない。
いくら情報屋だからと言って私が隠れて
バレンタインデーのクッキーを
作っているのは知らないはず。

「ふーん。今日は一段とおしゃれだよね。」

そんなことを考えているとふと臨也が呟く。
正直、ここでばれるかと思った。
確かにいつもは普通のジーパンにちょっと肩が出る服で色気なし
でも今日はふりふりのワンピースに色気おおありな格好。

「いや、たまにはおしゃれしようかなあって思ったりして。」
「そうなんだ。」
「うん。」

臨也は座っていたソファーから立ちあがりいつものPCの前に座る。
滑らせるような手つきでキーボードを触り音を鳴らす。

「そう言えば、臨也」
「何?どうかしたの?」
「今日は何の日か知ってる?」

一瞬、PC画面に目を向けていた臨也の目が私と合い、ニヤっと
した顔で言う

「バレンタインデー」
「そうです。」
「っていうことは俺にチョコあるんだ?」
「うん。」

私は立ちあがって臨也が向かっているPCの前に筒箱を持って向かう。
近づくたびに心臓の鼓動は高まる。

「…チョコクッキーだし、味には自信ないけど…」
「有難く頂くよ。」
「臨也、Happy Valentine Day」

臨也は私が綺麗に包装したりぼんを解き包装紙をはがし
茶色の箱をそっと開ける。
そして綺麗な指でクッキーを掴み口に含む。

「へえ、いいできだね。美味しいよ。」
「本当?!よかった!」

そう言い終わるとふいに視界がぐらつき軽い
リップ音が私の耳に届く。

「クッキーも美味しいけど、亜子も美味しいね。」
「臨也っ!」


バレンタイン・キッス

大人の味ね


20110214.Valentine special

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