デュラララ!!

□ただ星に願うのは君の幸せ
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仕事が終わってトムさんと別れてから静雄は1人カフェに向かう。
そのカフェは静雄には不似合いな可愛らしい看板にカーテンに窓。
照れくさそうに入る静雄を彼女は嬉しそうに眺めていた。


「わりぃ、待たせたな。亜子。」

「ううん、さっき来たばっかりだから大丈夫だよ。」

彼女は店員を呼んでコーヒーふたつを注文すると輝かしい薬指のダイアモンドを
静雄に見せて嬉しそうな悲しそうな微妙な表情で告げた。


「実は、4月に結婚したんだ」


それはいきなりのこと。彼女は高校時代までこの池袋に住んでいて、高校を卒業してから
渋谷のほうに住むようになったのだ。
そしてその地での出会いらしい。

「…よかったじゃねーか」

店員さんがコーヒーお待ちしました。と言ってテーブルの上に並べる。
それを気にせず静雄は彼女に言った。

「うん、ありがと。」

しかし、彼女の表情は暗く先ほどの頬笑みすらなかった。
そして彼女はうつ向いて口を開いた。

「本当はね、私静雄のこと好きだったんだよね。」

彼女の言葉に静雄は驚き飲もうとしてもったマグカップを胸上にあげたまま。

「でも、伝えられなかった。」
「…お、俺も好きだった。」

やっとの思いでコーヒーを一口飲んで照れた顔をして告げる。

「そっか…両想いだったんだね。」
「…だな」

彼女はまた微笑んだ。静雄はその頬笑みがたまらなく好きだ。今も昔も。

「また、連絡していいかな?」
「…ああ」
「静雄も幸せになりなさいよ。」
「なれたらな」


そして静雄はカフェから見える景色を見て願った。




――君に幸あれ




20110121





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