CP小説部屋
□団子より…
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大型連休の最終日。
始と終は、続に
「最終日ぐらい二人きりで公園でも行ってきたらどうですか」
と言われ、家から追い出されてしまった。
家の近くの公園を、二人で目的もなく歩いていた時である。
「あっ!」
「どうした?終」
「すっげえ!タンポポだ!」
自然の力によるものか、人が植えたのかわからないが、噴水を囲むようにタンポポが咲いている。
「黄色いじゅうたんみたいだ!」
「たしかにすごい数が咲いているな」
終はタンポポに走り寄り、しゃがみ込んだ。始も終のとなりにしゃがみ、終が指をさしている方向へと目を向ける。
「兄貴、あのタンポポだけ背が高い」
「ああ、ひょっこり顔を出しているみたいだな」
「始兄貴みたい」
「そうか?」
終は突然立ち上がり、背の高いタンポポに手を伸ばした。
「摘み取りたいのか?」
「うん」
「花より団子のお前がか?」
「欲しいんだよ。タンポポの始兄貴」
「……………」
「兄貴はさ…、みんなの兄貴だろ?だから……」
独占するなんて無理だろ?
だからせめて
タンポポだけでも
「終…」
「いいだろ?タンポポぐらい」
「やめておけ」
「何でさ?」
「摘んだらいつかは枯れてしまうだろ」
始はスッと立ち上がり、公園の出入り口へ向かって歩き出した。
「あっ、待ってよ始兄貴!」
結局、タンポポを摘み取らずに終は始の後を追いかけた。
「どこに行くんだよ」
「お前の行きたいところだ」
「別にどこもねぇよ。観たい映画もないし」
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