拍手@小ネタ集

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あの後、俺とチャイナ娘はそれぞれの帰る場所に帰った。

俺は、寝ている隊士達を起さないように、静かな足取りで局長室へと向かった。

コンコン、と2回ノックすると、「入っていいぞ」と近藤さんが呟く。



「・・・失礼します・・・近藤さん、」



土方は一歩下がってから、軽い会釈をした。

近藤は、ただ目だけでそこに座れと指示をしている。



「・・・・・・・・・・」



土方は黙って座布団の上に座ると、近藤が口を開いた。



「トシ、どうしてまたこんな夜中に俺のところに来たんだ」



「・・・・それは・・・」



俺は、近藤さんに話をつけにきた。

真選組は、凄く大事だ。

俺を育ててくれて、慕っている近藤さんも。

一時もここを離れてはいけない事くらい、副長の自分がよく分かってる。

でも、

それでも・・・

銀時が、居ないのに、

銀時が生きているかもしれないのに、

何もしないわけにはいけなかった。




「・・・トシ、お前は昔から、そうやって一人で溜めこんで、自分だけが犠牲になろうとするよな」





「・・・え?」





「・・・俺は、トシのそんなところも好きだが、逆に駄目な考えだと思うぞ。

・・・探してやれ、坂田を。

事情は俺達真選組だってきちんと把握している。情報だってある。だから、一人でやろうとするな、トシ。

俺たちは仲間だろう?相談くらい、いつでも聞いてやるんだから・・・。

今からでもいい、探してやれ。

坂田がお前の隣に戻ってくるまで、それまで有給だ。

但し、絶対に一人で戻ってこないことだ・・・絶対に見つけてやれ、いいな?」



近藤さんは話し終えると、ニカッと笑った。



俺が言おうとしたことを、全部分かってくれている。

見透かされている。

ああ・・・やっぱり俺は、この人にいつも助けてもらってるんだな・・・。







「近藤さん、俺・・・絶対探してみせる」







今までにない真剣なまなざしに、近藤も威圧感を感じる。





「ああ・・・そうだトシ、坂田っぽい奴の目撃情報が来てる。吉原で見かけた・・・という輩が3人ほどな。そこ中心に探してみるといい」





















吉原への道を走っていると、チャイナ娘と眼鏡がもうすでに向かっている途中だった。



「オイ!チャイナ娘と志村弟!」



俺が声をかけると、二人は止まってから後ろを振り向いた。



「あ、遅いアルニコチンマヨ!何やってたアルカ!!」



「待て。お前らなァ・・・もう夜中だぞ?危ないから、明日にしとけ、俺が探すから」





土方がそういうと、神楽は土方の頬めがけて平手打ちをした。





パシンッ・・・と静かな街に響く乾いた音。



「お前・・・この時間にも銀ちゃんが大変な事になってるかもしれないアル!!それを明日にしとけ?ふざけるのもいい加減にしろヨ!銀ちゃんは・・・・っ・・・ふぇ・・・」



神楽はじわりと涙を浮かべてから、ポタポタと涙をこぼした。



「神楽ちゃん・・・」



新八が、横からハンカチを渡すと、神楽はそれを無言で受け取ってからぐしぐしと鼻をかんだ。



チャイナ娘も志村弟も、こんなにも銀時の事を思っている。

アイツは、自分が居なくなったらたくさんの奴が悲しむことを知らないんだろうな・・・。





「チャイナ娘、俺から離れるんじゃねェぞ」





「・・・いいアルか?」





「ああ、その変わり、単独行動したりしたら・・・斬るからな」







一刻も早く、銀時を見つけよう。













こいつらの笑顔を、護るためにも・・・。







END


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