拍手@小ネタ集

□3
1ページ/1ページ


殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ・・・。




脳内に響き渡る言葉は、そればかり。




コロセ、コロセ、ミンナ、コロシテシマエ。




コロシタラキモチヨクナレル、オマエハラクニナルゾ。

















ーーーーサァ、コロシテシマエ。










「綺麗だぜェ、白夜叉」




高杉が恍惚の表情で、光の宿ってない銀時の瞳を見つめる。




否、それは人間のようには見えなくて、まるで生きた人形のように冷たかった。




黒い闇が深く広がっていて、目を逸らせば死んでしまいそうなほどに。




「・・・血が、欲しい」




ぽつり、と嘆かれた言葉。




あるべきはずの坂田銀時はここにはもう存在していない。




彼の心にあるのは、血と死と絶望だけ。




「まあ待てよ。もうすぐ楽しい祭が始まるんだ」




高杉がククッと笑うと同時に、激しい音を立てて鉄の扉が破壊される。




「・・・フン、来たか」




まるでそれを知っていたように高杉は呟くと、銀時を拘束していていた道具を外した。




「・・・・・・っ高杉ィィ!!!」




土方がゼエゼエと荒い息を吐きながら刀を振りかざす。




「・・・行け」




高杉が銀時にそう促すと、銀時は無表情のまま土方の前に立ち憚った。




「ぎ・・・・とき?!」


あまりにも予想に反した事が起きたからか、土方は振りおろそうとした刀を寸で止めた。



その刀をとめた隙を銀時は見逃さない。




銀時はただ本能に身を任せて、土方めがけて刀を振りかざす。




ザシュッという音がした後に、後方に土方が転がっていった。




「よく、かわせたな」




低い声で笑いながら、倒れこんでいる土方に突進する。




「ぐっ・・・・!!」




刀同士でギチギチとひしめき合う音がする。




土方は、ギリッと歯を噛みしめながら、やがて口を開く。




「ぎん、とき・・・!目ェ覚ませよ・・・!!っ!!」




「黙れ」




「お前はっ、無駄に刀を振るうような・・・護るものなんてなにもないくせに、刀を振るうようなことなんて、しねェだろうが!!!」



「・・・黙れ」



「チャイナや眼鏡が悲しんでんのに、お前は見過ごすのかよ!オイ?!」



「・・・黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れェェェェェェェ!!!!!!!!!!」



銀時は、目を大きく見開いてから、それに圧倒されている土方の喉めがけて刀を突き刺した。



・・・つもりだった。



「・・・・・・・・ッ」



思わず目を瞑っていた土方は、そっと目を開く。



「−−−−−−・・・・っ・・」



ガシャン、と手から滑り落ちた銀時の刀。



「ぎん・・・とき?」



ふるふる震えている銀時は、まるで泣いてるようで。



「・・・チッ、何やってんだ白夜叉!早くそいつを殺せ!」



高杉が叫んでも、銀時は反応しない。



「・・・・・・・・・・・っ」



すぅ、と振りあげられた刀。



その刀を、銀時は土方に握らせる。



「お願いだ・・・俺を、・・・っ殺して、くれ。理性が・・・あるうちにっ」



銀時は自分の爪をバリッと剥いで、理性を必死に保とうとする。



「ば・・・!そんな事、出来るかよ!」



土方が言うと、銀時はふわりと微笑んだ。



「俺の、一生のお願い。俺はこのままじゃ、お前や・・・神楽や新八さえも、殺しちまう。・・・もう、そんなのは御免だ。・・・だから・・・お前で・・・・・・・・」



言いかけると、銀時の体が激しく揺れ出す。



「ああああああああ”あ”あ”あ”!!!!!」



頭を押さえつけて、必死に頭を振る。



「ひっ・・・ひぐぁぁぁああっ!!!!うああああああああ!!!!!!!!!!」



銀時は大声を出してから、刀を腹へと刺した。



「が・・・はっ・・!!」



血を吐いて、地面に倒れこんだのは・・・高杉だった。



「・・・・・・・・・・銀時ィ・・・・・・・俺ァな、そんなお前がよ・・・・・・ずっと・・・・・・・・・・・・・・だったんだぜ・・・」



死ぬ間際のはずなのに、高杉はいつもの笑みを浮かべていた。



彼は、そんな残虐な白夜叉が好きだった。



だから、自分がお前に殺されるのも本望だとー・・・そう言ったのだ。



「・・・終わったんだな・・・」



「・・・ああ、そうだな」























































ばいばい、土方。





































銀時は、土方の目の前で・・・血潮を吹いて、床へ倒れこんだ。







その心臓は、止まっていた。




















END


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ