拍手@小ネタ集

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「あ………ぐ……」

ドサッ、と血を吐きながら崩れていく体。
手からすり抜けるナイフ。

地獄が…終わりを告げた。

「………」

死んだのは俺じゃなくて、アイツの方だった。

アイツが俺を刺す前に…
「…ひじかた」

土方が…アイツを刺した。

どうして?

なんでここに居る?

どうして…

「なんで泣いてるの…?」

土方は涙を流していた。

綺麗で、真っ直ぐで、しばらく見とれていた。

「銀時っ…無事か…?」

土方が俺を抱き締める。

腕はカタカタと震えていた。




「お前が…急に居なくなったって眼鏡から聞いて…写真の背景を手掛かりに来てみたら…お前がっ…」

「…ごめん…ごめん土方…」

信じなくてごめん。

迷惑かけてごめん。

泣かせて…ごめん。




「俺は、死ぬよ」




どうせ死ぬなら、せめて…せめて愛する貴方の手で、死なせて下さい。

俺は土方にナイフを持たせた。

「俺、お前に殺されるなんて…すっげぇ幸せ」

にこっ、て笑って。

「ほら…早く刺して?」

土方は黙ったままだ。

黙ったまま、震えていた。




パシンッ




「え──…」

頬がヒリヒリと痛む。










「お前は…馬鹿か?何で死ぬんだよ。何で死ぬ事を望むんだよ?お前は気付いてないんだろうがな…お前を好きな奴らがどんだけ居ると思ってる?今だって、街の奴全員でお前を探してる。それを分かってないのか?お前が死んだら、どんだけの奴が悲しむと思ってんだよ!!」

土方に怒鳴られてビクッと体が跳ねる。

なんだよ…ソレ…。

なんで…そんな…。

「俺は…俺はもう…大切な奴を傷つけたくねェんだよっ…」

「傷つけたくない?お前が死ぬと全員が傷つくんだぞ?!」

「そうだけど…そしたらアイツらはもう一生傷つかないかもしれない」

「っ……銀時」

「……………」

「……っ来い。着いてきたら、いつでも俺が殺してやるから」














「銀さん…?!」

「銀ちゃん…?!」

神楽と新八が泣きじゃくりながら駆け寄ってくる。

「ふぇぇっ…銀ちゃぁん…居なくなっちゃ嫌アルぅ…!!何でも言うこと聞く!酢昆布も食べないから…だからっ、許してヨ…っ」

「僕も…ごめんなさい…!銀さんは…銀さんは万事屋にずっと居てください!離れたら嫌です……!」

二人がまた泣き出すと同時に沖田くんがやって来た。

「旦那…こんばんは。次、チャイナを泣かせたら俺はアンタを許しやせん。…だから、チャイナが笑顔で居るように…あ、あと土方さんも…ずっとここに居てくだせェ」

「そうだぞ万事屋ァ!お妙さんも泣いてたぞ!!悔しいがお妙さんもお前が好きなんだ!皆お前が好きなんだ!だからもうこんな事はよせ!!」

「………」

「…銀時?どうやって殺してほしい?刀か?それとも絞め殺そうか?」

「…………」

銀時は、首を横に振った。涙をポロポロ零して、目を真っ赤にして。










「俺…っしにたく、ない…」




ああ、言ってしまった。

言わないって…決めてたのに…。

「土方、土方、土方、土方、土方…」





「…銀時…おかえり」





土方が優しく笑った。

俺もぐちゃぐちゃの顔で、思い切り笑った。




「ただいま…っ」




未来を切り開いてくれた。

俺に居場所を与えてくれた。

ごめんな、本当は、本当は…っ







「お前たちが…大好きだよ」





END


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