拍手@小ネタ集
□2
1ページ/1ページ
「銀ちゃん、銀ちゃぁん!」
「銀さん…?」
朝から銀さんの様子がどうも変だ。
問い掛けても返事をしない。
虚ろな目は、ただ空気を見つめていた。
目すら合わせようとしない。
心なしか、少し顔色も悪くて…。
「銀ちゃん!苺牛乳買ってきたアルよ!」
「……………」
沈黙が続く。
銀さんはまるで死んだ人間みたいだった。
息だけしている、人形。
「ふぇっ…銀ちゃぁん…」
神楽ちゃんがとうとう盛大に泣き出した。
「…銀さん」
それでも銀さんは黙っていた。
僕は、そんな銀さんが見ていられなくて…。
思い切って、酷い言葉を言ってしまった。
「銀さん…貴方そんな人だったんですか?!神楽ちゃんが泣いてるのに、まだ黙ってるんですか?!何があったかは知らないけど、そんなに酷い人とは思いませんでした!!」
僕がそう言うと、銀さんは小さく口を開いた。
「お前も…俺を攻めるんだな」
銀さんはそれだけ言うと、万事屋を出ていってしまった。
とても、悲しい顔をしていた。
傷つけてしまったんだ…。
もう、銀さんはどこか遠くへ行ってしまったのかもしれない。
でも…。
僕が…神楽ちゃんが何かしましたか?
ねぇ、銀さん…。
答えてくださいよ…。
下品な笑いでも寒い親父ギャグでもいいから。
「…家族の仲が壊れると電化製品が壊れるって…誰かが言ってたなぁ」
ヒビが入ったら、もう広がるしかない。
…銀さん…。
*
「副長ォォ!!たた、大変です!大変です!!」
山崎がものすごい足音を立てて俺の所に来た。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ちょ、オイ…どうしたんだ山崎ィ?」
「そっ、そそ…それが!街で大量殺人が起こりました!!」
「っ?!」
「しかも犯人が故意に残していったものが…」
「……………」
「……万事屋の旦那の、写真でした」
銀時の…写真?
何のために?
「…っ、見せろ!」
山崎の手にあった写真を奪い取った。
…絶望、した。
衝撃的だった。
銀時が…酷く殴られている写真、他にも目を覆いたくなるような…。
ぎり、と手に力が込められる。
「…山崎」
「は、はいッ!!」
「ちょっと出てくる。俺がそいつを殺す」
「ちょ、ま…何言ってんですか副長!!」
「体バラバラにして…そうだな、銀時に触れた回数だけ針を刺してやるよ」
クク、と土方は笑う。
駄目だ、副長がおかしくなってしまった。
もう…止められない。
阻止するようなら、きっと殺される。
「……………」
山崎は黙るしかなかった。
ただ、歩いていく土方を…見る事しか出来なかった。