拍手@小ネタ集
□閉ざされた扉1
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今日は爽やかな秋晴れ。
銀時はコンビニにジャンプを買いに行く為、外に出ていた。
柔らかな風が心地いい。
だけど、そんな幸せな気分は長続きしなかった。
「坂田?」
路地裏からなにやら声が聞こえる。
銀時は慌てて声がする方へと戻った。
「ハハ、やっぱ坂田じゃん」
その男は、意味ありな怪しい表情で笑った。
「……………っ!」
見たことある。
覚えている。
アイツは…アイツは…!
「く……ッ」
気が付けば、全速力で走っていた。
逃げなければ。
駄目だ、駄目だ。
フッと記憶がフラッシュバックする。
思い出したくない過去。
一生忘れていたかったのに。
捕まったら………!!
「つーかまえた」
GAME OVER
*
あの後、アイツに滅茶苦茶に犯された。
死ぬと思った。
死を…覚悟した。
俺は、殺したんだ。
一番大切な人を…護るべき人を…。
…殺してしまったんだ…。あの時、もっといい判断が出来ていたら。
俺がもっと強かったら。
俺が弱くなければ。
あんな事には…ならなかったのに。
俺が殺したんだ。
俺が殺した。
俺が…松陽先生を殺してしまったんだ…。
それからというものの、皆の視線は冷たかった。
勿論、俺を消そうとした奴も居た。
その一人が…アイツ。
酷く抱いては暴力を繰り返して、俺が傷つくたび、アイツは笑った。
吐いても、失神しても、吐血してもアイツは笑った。
そうして行為の後は当たり前のようにこう言った。
お前のせいで師匠は死んだんだ。
全部お前のせいだ。
師匠の痛みはこんなもんじゃない。
そう…言われ続けて。
でも、否定できる理由はどこにもなかったんだ。
だから、俺は従った。
壊れた人形みたいに…体も心もボロボロになってしまった。
もう…疲れたんだ。
天人と戦って、アイツに酷くされて、罵られて。
…死にたい。
そう思ったのは事実。
何回刀を握り締めたのか分からない。
だけど、だけど…。
俺が生きる事が松陽先生の望み、だから…。
「銀時…貴方が生き続けることが…私の、望みです」
その望みを…貫き通したいと思った。
だから俺は生きた。
心なんていらない。
何もいらない。
背負うものなんて…誰も…何も…。
「…新八、神楽…」
何も…。
「お妙、ばばあ、定春…」
…なに、も…。
「沖田くん、ヅラ、…土方」
また、背負ってしまった。辛い思いをするくらいならもう何も背負いたくなかったのに。
「…ごめんな」
俺はまた、アイツのところに行かなければならないから。
毎日、夕方になったらここに来い。
突き付けられた絶望。
息が止まるかと思った。
土方、土方、土方、土方
…助けて。
たった4文字が…伝わればいいのに。
ごめんね、ごめんね。
俺はもう…
俺はもう、限界です。
END