拍手@小ネタ集

□閉ざされた扉1
1ページ/1ページ

今日は爽やかな秋晴れ。


銀時はコンビニにジャンプを買いに行く為、外に出ていた。


柔らかな風が心地いい。


だけど、そんな幸せな気分は長続きしなかった。


「坂田?」


路地裏からなにやら声が聞こえる。


銀時は慌てて声がする方へと戻った。






「ハハ、やっぱ坂田じゃん」






その男は、意味ありな怪しい表情で笑った。






「……………っ!」






見たことある。


覚えている。


アイツは…アイツは…!








「く……ッ」


気が付けば、全速力で走っていた。


逃げなければ。




駄目だ、駄目だ。


フッと記憶がフラッシュバックする。


思い出したくない過去。


一生忘れていたかったのに。





捕まったら………!!








「つーかまえた」






GAME OVER




























あの後、アイツに滅茶苦茶に犯された。


死ぬと思った。


死を…覚悟した。


俺は、殺したんだ。


一番大切な人を…護るべき人を…。


…殺してしまったんだ…。あの時、もっといい判断が出来ていたら。


俺がもっと強かったら。


俺が弱くなければ。


あんな事には…ならなかったのに。


俺が殺したんだ。


俺が殺した。


俺が…松陽先生を殺してしまったんだ…。


それからというものの、皆の視線は冷たかった。


勿論、俺を消そうとした奴も居た。


その一人が…アイツ。



酷く抱いては暴力を繰り返して、俺が傷つくたび、アイツは笑った。


吐いても、失神しても、吐血してもアイツは笑った。


そうして行為の後は当たり前のようにこう言った。







お前のせいで師匠は死んだんだ。


全部お前のせいだ。


師匠の痛みはこんなもんじゃない。





そう…言われ続けて。


でも、否定できる理由はどこにもなかったんだ。


だから、俺は従った。


壊れた人形みたいに…体も心もボロボロになってしまった。


もう…疲れたんだ。


天人と戦って、アイツに酷くされて、罵られて。


…死にたい。


そう思ったのは事実。


何回刀を握り締めたのか分からない。


だけど、だけど…。


俺が生きる事が松陽先生の望み、だから…。














「銀時…貴方が生き続けることが…私の、望みです」



その望みを…貫き通したいと思った。


だから俺は生きた。


心なんていらない。


何もいらない。


背負うものなんて…誰も…何も…。


「…新八、神楽…」


何も…。


「お妙、ばばあ、定春…」


…なに、も…。


「沖田くん、ヅラ、…土方」



また、背負ってしまった。辛い思いをするくらいならもう何も背負いたくなかったのに。





「…ごめんな」





俺はまた、アイツのところに行かなければならないから。


毎日、夕方になったらここに来い。


突き付けられた絶望。


息が止まるかと思った。






土方、土方、土方、土方






…助けて。






たった4文字が…伝わればいいのに。


ごめんね、ごめんね。


俺はもう…








俺はもう、限界です。



END


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ