銀魂1

□紅の教室。1
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紅の教室。(くれないのきょうしつ)前章。
「坂田嫌われ長編企画」

















鳴り止まないチャイム。
闇に染まった廊下。
歪みねじれた黒板。


何が、一体何が起きているのかが分からなくて、ただ一人で怯えた。

見えない恐怖に、















自分の味方はたくさんいて、いつも自分は愛されていて。

裏切りや孤独を知らなかった自分。

世界の主人公は自分なんだと、信じて疑わなかったあの頃。

毎日が輝いていた。

毎日が楽しかった。



なのにどうして。
もしかしたら、これは罰なのかもしれない。



君を…




忘れてしまった、罰。

















「おはよー」


奇妙な夜の次の朝。

チャイムが鳴る。

チャイムは数秒で鳴りおわった。

良かった。昨日とは違う。


銀時が安堵の溜め息をついた。

すると、クラスの友達の様子が可笑しい事に気付く。


「なぁ、ちょっと…返事くらいしろって」



銀時は一人の男子生徒の机によりかかり、そう言った。

だが返事はない。
どうかしてしまったのだろうか。


「…………」


一向に無視をし続ける事に苛ついたのか、銀時はチッと舌打ちをして踵を返した。



イライラする。
朝からどうして、こんな…。





「楽しくねェ…」





銀時が呟きながら、机の上にもっていたカバンを置こうとした。



「───…っ」



机には、文字がぎっしりと書きつめられていた。



死ね。学校くんな。ゴミ。消えろ。キモいんだよ。化け物。この世のカス。



「…なん……だよ、これ」




刹那。
ガツンッ、という音を立てて、銀時の頭に何かがぶつかった。


からんからん…と虚しく転がっていくジュースの缶。

銀時はそれを拾って、



「ポイ捨てはダメだろー?」


と、あくまで平然を装って言った。




だが、缶を投げたであろう男子生徒は、無表情のままこちらに迫ってきた。





「俺らさ、お前が嫌いなんだわ」


「…は…?」


「いつもヘラヘラして笑って、ムカつくんだよ。その髪の色も、気持ち悪い紅い目も」





───銀時の髪って、綺麗な色してるよな。



──銀ちゃんの紅い目、かっこよくて好き!








「いい加減気付けよ。






───お前の味方なんて、誰も居ないんだから」











楽しかった毎日は、






あの奇妙な夜を境に…最悪な方向へと変わってしまった。


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