銀魂1
□雪音
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「寒ッ…」
はぁ、と息を吐くともわもわと出ていく白い息が、元旦の寒さを物語っていた。
マフラーをして厚着して、それでも寒くて。
「寒いのか?」
横に居た土方が、首を傾げて問い掛けてくる。
土方は、いつもの隊服ではなく、黒の着流しにマフラーを巻いていた。
ちなみに、マフラーの赤が嫌味なほどに似合っていた。
「ん、寒い…お前寒くねーの?」
「俺か?そうだな…寒いな」
「そうだな、って…寒くないならそのマフラー寄越せっ!マジ寒ィ!」
「はぁ?!おま、マフラー外したら凍死すんだろ!」
俺がグイグイとマフラーを引っ張ると、土方はため息を吐いてから、潔くマフラーを外した。
「…お?」
ふわり、とマフラーが首に巻かれた。
(…気持ちいい…)
そのマフラーからは土方の匂いがして、それだけで暖かくなった気がした。
「これでいいか?」
「…んあ?」
気が付いた時には、俺と土方のマフラーが交換されていた。
「お前はやっぱ、赤が似合うな」
にっ、と笑う土方に、不覚にもドキドキしてしまって。
カッコいい…とか思っちまった。
「土方クンも、青…似合うよ」
「フン、当たり前だろ」
「うっわ、何それなんかムカつく」
「お前の色が、俺に似合わねェはずないだろ」
…………。
「ククッ、照れてんのか銀時?」
「ば…??!!照れてねぇよ馬鹿!!もうどっか行っちまえ!」
───離さねぇよ。
「…へ…?」
「離すわけ…ないだろ、お前はずっと、俺の傍にいろ…」
優しく抱き締められて、土方の匂いと体温が心地よくて、俺は胸に顔を埋めた。
少しだけドキドキしたのは、俺たけの秘密。
今年も、こいつと一緒に時を刻めますように──…。