銀魂1
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吉原とは、江戸の地下にある街で、ネオンな明かりがついて盛り上がっていた。ここ吉原は、夜が一番輝く街だ。
目撃情報があった為に来たわけだが、何をすればいいか分からなかった。
歩いてる奴を片っ端から調べる?そんなの無理に決まってる。
じゃあ、どうすれば──…。
「銀髪の女?何だソレ、初めて聞いたな」
「新人さんらしいんだけどさ、スゲー美人で妖艶なんだよ!」
「そうなのか?じゃあ今からでも…」
「あー、ダメダメ。なんかよく分かんねぇけど、どっかのお偉いさん専属らしくて。顔を拝めたらラッキーなくらいらしいぜ?」
「うわー、ショックだなそりゃぁ」
通り過ぎていく親父二人の会話が耳に入ってきた。
銀髪の女なんて、ここには居ない。
何度か接待で来た事はあるが、そんな女は知らない。見たことない。
銀時の可能性が高い。
俺がそう確信した瞬間、
「──…オイ」
ガキ共と話し合っていると、背中を強く掴まれた。
ギリギリと食い込む爪が地味に痛い。
「なんだ。……お前は誰だ?」
殺意の籠もった目で睨むと、向こうは怯むどころか、表情一つかえやしなかった。
やがて、向こうが喋りだした。
「わっちは番人の月詠じゃ。ここは吉原ということを分かっているのか?どういう理由で子供を連れてきて──……
…お前たち、銀時の…」
ぱっ、と肩を抉る手が離れた。
「ツッキー、聞きたい事がアルネ。銀髪の女はどこにいるアルか?」
神楽が言った途端に、新八も顔を引き締めて耳を澄ました。
番人とかいう女は、どうやら銀時の知り合いのようだ。
「なぁ、そこの女」
「なんじゃ?」
「銀時は何処だ。…いや、銀髪の女は何処にいる」
「…さっきから何を言ってるんじゃお主ら?銀髪の女ならそこにおるじゃろ」
───は…?
三人が指の差された方に振り返った。
そこには、まるで…
西洋人形のように、無感情で無表情な、ナニカがいた。
所詮、声は届かない。
必死な思いなんて、伝わらない。
感情がないんだから、当たり前だろうけど。
誰の言葉にも耳を傾けず、誰も見ようとせず、
ただ、俺だけに従う。
綺麗な容姿とは裏腹に、並外れた能力をもってして、相手を斬り捨てる。
一切の迷いなんて存在しない。
なぜなら彼は、感情がないから──…。
お侍さんはね、もう永遠に俺のモノなんだ。
渡さない。
誰にも渡さない…。
真選組副長兼お侍さんの元恋人さん。
愛する人から裏切られ、刀を振りかざして一気に斬られた後…血潮を吹きながら、何を思うのかな?
いっておいで、銀時。
あの男を、殺すんだよ。