銀魂1

□La storia con a addio.
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・Non è più collegato con essa, l'amore.(結ばれなくても、君が好きだよ。)

・In realtà, volevo un lato felice.(本当は、僕の隣で幸せになって欲しかった。)

・Non sei il mio destino, ma è davvero come loro.(君は僕の運命じゃないけど、どうしても好きなんだ。)

・I muore, solo un po 'meglio, mi è stato pianto, dimentichi.(僕が死んだら、少しだけでいい、想って泣いて、忘れて。)

・La storia del personaggio principale è felice, non ho potuto permettersi.(幸せな物語の主人公には、なれなかった。)

・La storia inizia con addio (さよならから始まる物語)



走れば走るほど、息は苦しくなって頭が破裂しそうになった。
迫る恐怖と、震える足。
ガタガタと震えて、止まらない。
そう、止まってはいけない。
もし、俺がここで走るのを諦めたとする。
それは、自分で自分の人生を諦めるのと同じ事になってしまうから。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!!」

苦しい、くるしい、クルシイ。
もう、走れない、嫌だ、来ないで、ついてこないで。

「そんなに逃げなくても、捕まえてやるよ・・・」

「ヒッ!」

背後から声がした。
もう、すぐそこまで来てる。
だけど、俺の足はもう限界を超えていた。
気を抜けば倒れてしまう。
それは死と同じこと。

「ついて・・・くるなァっ!!!」
叫んでも叫んでも、鬼はおってくる。
手をゆらりと伸ばして、俺をつかまえてくる。

「どうして逃げるの?」

“俺は、こんなにもお前が好きなのに”

もう嫌だ、聞きたくない、聞きたくない!!!
そんな悪魔のような呪文を、聞きたくない!!

「あ!」

草が足に絡んで、転んだ。
かろうじて手を伸ばしたおかげで、顔からは落ちなかった。

「――――捕まえた」

鬼は、俺の顎をつかんでゆっくりと撫でまわした。
口角を上げて、目は三日月のように細めて。

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

俺の断末魔は、闇に響いた。













Side:銀時

最近、土方と会ってない。
いや、もっと詳しく言うと、会いに来ない。
真選組の副長は、さぞかし仕事も忙しい事だろう。
だけど、少しくらいの時間はあるハズ。
土方は、週に一回は絶対に顔を出していた。
それが最近は無くなり、メールのやり取りも少なくなってきた。
最初は、凄く優しいメールだった。
そうして、時が経つとメールの内容がおかしなものに変わってきたのだ。

“今日は、何してた?”
“誰と居たんだ?”
“本当に、俺だけを愛してる?”

俺の行動ばかりを気にするメールが相次ぐようになった。
俺の事気になんのかな、とか、俺が浮気してないか調査入れてんのかな、とか。
そんな事を思っていたけど、どうも違う。

“今日は、誰と何時に帰ってきましたか”

お前は俺のお母さんか?保護者ですか?

“嘘ついたな。お前が帰ってきたのは、11時じゃなくて、11時19分だろう”

正直、ゾッとした。
そんなに気になるなら、会いに来てくれればいいのに。
そして、時間を完璧に把握している土方に、一抹の不安を覚えた。
―――どうして、知っている?
どう考えてもおかしい。
恋人であるハズの土方に対して、危険信号が鳴った。
・・・怖い。
土方が、怖い。
支配されてしまいそうで、見えない鎖で繋がれているようで。

俺は、一時であれ、土方を恐怖の対象にしてしまったんだ。































Said:土方
最近、銀時と会ってない。
週に一度、顔を出すなんて事言っておきながら、そんな約束が果たせない自分に腹が立つ。
攘夷浪士たちがやけに活動し、夜中の事件やテロが相次いでいた。
会いに行く暇さえ与えてもらえず、一睡もせずに報告書や書類と格闘する毎日。
正直、疲れた。
こんな時、銀時が居れば。
俺の不安や疲労なんて、簡単に吹っ飛ばしてくれるだろう。
銀時に、会いたい。

「近藤さん、明日の市中見回りは総悟に代わって俺が行きます」

市中見回りのついでに、少しだけ万事屋に寄ろう。
総悟は凄く喜んでいた、俺も嬉しいし、皆幸せだ。
俺は、軽い足取りで外へ歩き出した。

銀時に会う為とはいえ、仕事は仕事だ。
万事屋につくまでは、ちゃんと真面目に見回りをする事にした。
今日の歌舞伎町は、至って問題ないみたいだ。

そうだな、ケーキでも買っていくか。

やっぱり妥当に苺のショートケーキか?
いや、でもモンブランやタルトも捨てがたい。

まぁ・・・アイツなら、何でも喜んで食ってくれるよな。

ケーキを頬張る銀時の姿が目に浮かんで、つい顔が緩んでしまう。
そう、今のこの時までは。



「えー!俺こっちがいいなぁ・・・ダメ?」

「フン、仕方ねーやつだな・・・ってそんなに可愛くしても駄目だからな、オッサンはオッサンなんだよオッサン」
「おおおおオッサンじゃねーし!いいから買えよチビ杉!」

「チビ言うな!買うから黙れやクソ天パ!」

「わーいありがとう晋助くん愛してるー!」

「キメェ・・・」

なん・・・だ?
銀時と、誰かが仲良さげに話をしていた。

「ほらよ、さっさと帰んぞ。寒ィ」

「へーへー。ケーキ落とすなよー」

胸の中で、黒くてどろどろしたものが渦巻く。
ぐちゃぐちゃして、気持ち悪い感情。
こんな感情、俺は知らない。

「・・・・・・・・・」

銀時と男が肩を並べて帰ってるのを見て、自然と自分の瞳が鋭く、嫌なものに変っていた事に気付いた。
そうだ、これは嫉妬の塊。
俺がいるのに、どうして。
どうして、俺じゃないんだ。
そんな暇があるなら、屯所に来るくらいできるだろう?
それとも、俺はもういらないのか?
お前の中に、俺はいない?
なあ、銀時。
銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時銀時。
俺はこんなにもお前を愛しているのに。
どうして、

俺が見たことのないくらいの笑顔で俺以外の奴に笑いかけているんだ?

それから、銀時がたびたび誰かと一緒にいるのを目撃するようになった。
夜遅くに帰ったり、朝早くに出ていったり。
そして銀時は、俺の知らない顔をする。
俺だけにと思っていた顔も、余所でへらへらと振りまいて。

“お前と会えなくて、寂しい”

そんな言葉、嘘だって分かった。
メールなんて、所詮は文字のやりとり。
俺は信じてた、銀時の事。
だけど銀時は、俺を裏切った。
嘘をついた。
楽しそうだった。

・・・・・・・・・・。

ああ、そうだ。
銀時を、閉じ込めておけば。
屯所の地下に監禁して、日の光なんか拝めなくなるようにして。
目に映るのは、俺しかいない。
俺だけが、生きる希望となって。
誰の目にも触れさせない。
俺以外の奴を瞳に映させない。
言葉だって、もう俺しか聞けないようにして。
やがて銀時の存在は薄れ、忘れられていく。
俺だけが銀時を愛して、俺だけが銀時の存在理由。
誰も助けてくれなくて、銀時は泣くかもしれない。
そしたら、俺が優しく優しく慰めてやる。
その涙さえも、俺だけのモノ。
だけどそれじゃ、銀時が可愛そう。
きっとアイツは、生きている限り、友達や仲間の事を思い出す。
思い出しては、悔んで、悲しんで、涙に落ちていく。
そんなのは御免だ。
俺以外のやつのせいで銀時が涙を流すなんて、許さない。
思考回路さえも、俺の意思で動かせたらいいのに。
どうすれば、銀時は俺だけのモノになる?
――――そうだ。
息の根を止めてあげよう。
苦しくないように、ひと思いに締め上げて。
そうすれば、誰も悲しまないし、銀時は永遠に俺だけのモノになる。
最高じゃないか。
だって、俺は銀時を愛しているから。
たとえ報われなくても、俺だけの思いでも。
お前を、愛しているんだ―――――。




























「ひじ、かた・・・」

月光を背に、笑顔で立ちすくむ土方がいた。
もう、逃げられない。
逃げたら、殺される。
逃げなくても、殺される。
後はない。
もう、終わってしまった。
鬼に捕まったら、その時点でゲームオーバー。
鬼は、笑っていた。

「銀時は・・・俺だけのものだよな?」

土方は屈んで、俺の頭を撫でた。
普段なら気持ちいいと思えるこの行為も、今では怖い。
なぜなら、その手つきはあまりにも優しいから。
優しくて、儚くて、すぐに壊れてしまいそうで。

「俺は銀時を愛してる・・・お前も俺を愛してた・・・」

愛してた?

「もう・・・お前は俺を好きじゃない・・・好きじゃないなら、銀時は俺のモノじゃない・・・だから永遠に、俺のモノにしたい・・・」

土方が何を言っているのか分からなかった。
どうして、過去形なのか。
どうして、

どうして。

「ねぇ、土方・・・どうしてそんなに泣いてるの?」

どうして、今にも俺を殺しそうなやつが、涙を流しているの?

「・・・・・・信じて、たのに」
土方がギリッと歯を食いしばった。

「信じてたのに!お前は俺を裏切った!寂しいなんて嘘をついた!」

――――あぁ、そっか・・・。

「もう、誰にも渡さない。誰にも触れさせない」

その瞬間、下腹部に痛みが走った。
貫通した包丁。
そこから滴る鮮血。
ぽた、ぽた、と地面に落ちていく。

「か・・・はっ・・・」

・・・痛くなんか、ない。
だって、俺は知ってしまったから。
お前の胸の内にあった、叫びを。
お前の痛みに比べたら、全然痛くない。
本当は、



「・・・ほ、んとう、は・・・さみし、かった・・ん、だ・・・な・・・」

そう、本当に寂しかったのは、お前。
でも、お前はプライドの高さ故に、それを言い出せなかった。
そして募った独占欲。
全ては俺が招いた結果。

「・・・ごめん、なさい・・・ごめんなざい・・・ひジかた・・・ヒジかタ・・・」

泣かないって決めてたのに。
せめて、笑顔でさよならしようって、思ってたのに。
こんなにも、涙があふれるのはどうして?
どうして、
「お、れ・・・おまえを・・・すきって・・・ぎもちは・・・うそ・・・つい、て、ない・・・」

これだけ、最後に言わせて下さい。





「・・・ず、っと、・・・あい・・・して、る」

俺に幸せを、喜びを、愛を与えてくれてありがとう。
好きな人のために死ねる、なんて幸せなんだろう。

ただね、もう少し早く気付いていたかった。
そうすれば、こんな結末じゃなかったかもしれない。
二人で、未来に進めたかもしれない。
だけど、俺はこれでハッピーエンドだと思う。
どうして?そんなの簡単。





最後に見た土方は、泣いていたから。












俺は勘違いをしていたんだ。
全てアイツのせいにして、傷つけて。
本当は、俺が寂しかっただけなのに。

「・・・ぎんとき?」

愛狂おしいそのヒトは、もう動かなかった。
ああ、なんて俺はバカなんだろう。
これじゃあ、もう見れないじゃないか。

「土方!」

俺の名を笑顔で呼ぶ、お前を。
永遠に見れなくなるのは、俺の方だったんだ。

今更気付いても遅い。
愛していた恋人は、自分の手で殺してしまった。
朽ち果てた骸は、それでも笑っていた。

泣きたいくらいに、安らかな眠り顔だったから。

また、朝起きたらいつもみたいに朝食を作ってるんじゃないか、って。
そんな淡い期待をする、俺が。
酷く憎くて。

悔しくて、悲しくて。
自分を責める事しか出来なくて。
涙があふれて止まらなかった。

「・・・なぁ、銀時・・・早く起きろよ、なぁ・・・」

返事はない。

「・・・ぎんときィ・・・」


愛に狂った男は、熱を持たない骸に包丁を持たせて。

そのまま、自分の腹に刺した。



「ぎ、とき・・・しあわせ、だ」

お前に殺されるなんて、なんて幸せなんだろう。

お前の横で死ねるなんて、なんて幸せなんだろう。

今は失敗してしまった、だけど。



来世ではきっと、俺たちは結ばれるよね?
そう、信じて。

俺は安らかな顔で、永遠の眠りについた。

愛しい者の、その隣で。





・Non è più collegato con essa, l'amore.(結ばれなくても、君が好きだよ。)

・In realtà, volevo un lato felice.(本当は、僕の隣で幸せになって欲しかった。)

・Non sei il mio destino, ma è davvero come loro.(君は僕の運命じゃないけど、どうしても好きなんだ。)

・I muore, solo un po 'meglio, mi è stato pianto, dimentichi.(僕が死んだら、少しだけでいい、想って泣いて、忘れて。)

・La storia del personaggio principale è felice, non ho potuto permettersi.(幸せな物語の主人公には、なれなかった。)







・La storia inizia con addio (さよならから始まる物語)

END


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