銀魂1

□雨の日は君と
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「・・・はぁ・・・」

今日は雨。雨だから憂鬱。

・・・なんて、言えたらいいのに。


雨の日は君と


最近土方と会ってなくて、毎日心に穴がポッカリ開いてるような状態。

神楽と新八もそれに薄々気づいているらしく、今日は休みをくれた。(つっても毎日休みみたいなもんだけど)

だけどやっぱり気分は晴れなくて、パチンコに行くも負けっぱなし。

お金が無くなって帰る途中には真選組の姿があった。

気になって土方を探すも、見つかることはなくそそくさと帰る自分。

「銀さんこんなキャラじゃないんだけどなぁー・・・」

はぁ、と今回二度目の溜息。

最初は・・・最初はあんな奴、気にしてなかったんだよ。

いっつもウチに来てくっついてきて・・・正直ウザいと感じる事もあった。

だけど、今はその逆で。

今すぐ抱きしめてほしくて・・・凄く逢いたい。

少しでもいいから、逢いたい。


それで、銀時、って名前を呼んでくれたら、なんていいんだろう。

所詮は妄想で終わる俺の一日。

きっとこんな感じじゃ、太陽が出ても気分は曇りのままだろう。

…駄目だ駄目だ!

きっとアイツも、同じ事考えてるんだから・・・。

え?何?自惚んなって?

馬鹿、アイツと思考が同じなんだから、合ってるに決まってんだろうが。

・・・多分。

今はそれを信じるしかない。

「銀さん、僕たちそろそろ寝ますね」

「銀ちゃんおやすみアルゥ〜」

「おぅ、おやすみ」

今日も一日が終わった。早く寝よう。

そうして俺は、深い眠りについた。



















「・・・んっ?」

カーテンが開く音に目を開ける。

新八だな・・・。

まだ眠いっつぅの・・・。

「おぃ、新八――・・・」

まだ眠い、と言おうとした所で言葉を止めた。

見えたのは天井じゃなくて、鋭い瞳で俺を見つめる、俺の―・・・

「ひじ、かた・・・?」

あれ?あれれ?俺、まだ寝ぼけてんのかな…?

幻覚まで見えてくるなんて・・・

「・・・・・・・」

幻覚でもいい、もう、なんでもいい。

そう思って手を伸ばす。

幻覚のハズの土方の頬に、俺の手が重なって、土方が微笑む。

「馬鹿、ちゃんと居るよ、銀時」

「土方・・・?居るの・・・?」

「あぁ」

伸ばした手をぎゅうっと繋がれて、起き上がる。

・・・本当だ、土方・・だ・・・。

「お前、大丈夫か?子供達がすぐ来てくれ、って・・・」

「ごめんね・・俺、お前に逢いたくて・・・でも逢えなくて・・・そんな日が続いて、多分おかしくなっちゃったんだろうな」

あはは、と笑って見せると土方はまた俺を抱きしめてくれた。

「ごめんな、俺も仕事を理由にココに来れなかった・・・でも、お前を好きな気持ちは変わらねぇからな」

「うんっ・・・俺も・・!」

涙をぽろぽろ流しながら土方の胸に飛び込む。

・・・あぁ、温かい。

つん、と鼻に香るセブンスターの香り。

土方の声。

こんなに、人恋しくなるなんて、初めてで。

きっと好きとかいう感情も、すべてお前が教えてくれたんだ。

氷の心を持っていた俺を溶かしてくれたのはお前。

「銀時、愛してる」

外は雨なのに、何でこんなに、気持ちは晴れやかなんだろうな。

それは、きっと、君が隣に居てくれるから。






END


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