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□拝啓 大嫌いな君へ
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銀時へ



元気にしてっか?

お前が今、この手紙を読んでる時…多分、隣に俺は居ない。

…ごめんな。

いつも勝手で、悪い。

折角、戦争が終ったのに…また、お前を悲しませちまった。

酷い話だよな。

でもな、俺にはやらねェといけない事があるんだ。

最初は、お前も連れていくつもりだった。

鬼兵隊を復活させて、一緒に幕府相手に暴れようと思ってた。

けど、出来なかった。

お前が…銀時が好きなんだよ…。

俺は感情を表に出さないから、お前は勘違いしてるかもしれないけど…。

好きな奴には汚れてほしくねェんだ。

お前はきっと優しいから、無罪の奴を斬るなんて、出来ねェだろ?

でも、ずっと一緒に居たら…引き摺りこみたくなっちまう。

お前と一緒に居たい、って…思っちまう。

だから、俺は一人で出ていったんだ。

今、俺がどんな状況にあるかは分からない。

捕まってるか?

それとも死んでるか?

…でもな。

一つだけ、信じてほしい。

俺の身体が滅びようと、屍になろうと、斬首されようと…魂はずっと、お前の傍に居る。

見守っててやるからな。

いくら醜い姿に成り果てても…





"ずっと、愛してる"





高杉晋助













































「懐かしいな…」



夕日が差し込む中、銀時はぽつりと呟いた。

高杉晋助は、江戸を火の海にしようとする、最も危険なテロリストだ。




…アイツは、ただ破壊するだけ。




護るものなんて何も無いのに、破壊し続ける…獣だ。

最近は、真選組や幕府の追跡から逃れるために、京に身を潜めてるらしい。

昔の優しい高杉は…もう居ないのだろうか。


「…高杉ぃ…」


攘夷戦争から10年、一度も高杉に会った事はない。

…そりゃそうか…。




「………俺は…お前が嫌いだ…嫌いで嫌いで…大嫌いだ…」





「…そうか。俺も…お前をずっと忘れられなかったぜェ?」




「…バーカ。10年ぶりに思い出したんだよ…今更帰って来やがって…」



「お前は?」



「あ…?」










「俺のこと。好きか?」










銀時は嘆息すると、ふわりと微笑んだ。

やがて、涙を零しながら、



















「テメェなんか……………………大好き…だ……」

















END


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