*恋人は専属SP 夢2*
□*秘密の夜*
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「やっぱさぁ、班長と初夏ちゃんて…」
花火の見える居酒屋で、そら達に料理にアルコールを入れられて、珍しく酔い潰れた桂木を見て 声を潜めた。
「…俺は、何も聞いてませんけど」
やはり、そらと同じように桂木と初夏の様子を憮然とした表情で見ながら、海司は答えた。
瑞貴は、曖昧な笑みを浮かべたまま それでも、やはり二人が気になる気持ちは同じで、そらと海司のやり取りを聞いていた。
酔い潰れた桂木は、初夏に膝枕をして貰い、幸せそうな顔で眠っている。
これが日本一のSPと言われる男なのか。
思わず疑いたくなってしまうほど、桂木の表情は幸せそのもので。
初夏は、少し困った表情をしてはいるが、見かたによっては、恥じらっているようにも見える。
昴は、そら達の会話を聞きながら内心苦々しい気持ちで、烏龍茶を喉に流し込んだ。
「初夏ちゃんの警護担当したの班長だしな〜」
グイッとビールを飲みながら、そらは顔をしかめた。
「確かに、そうですけど、初夏は何も言ってないっすよ?」
「海司くーん、気持ちは痛いほど解るけど…」
そらは海司の肩を組み、目配せをした。
「…明らかに、桂木さんの気持ちはわかりますね」
瑞貴の言葉に、そらも海司も、大きく溜息を零した。
昴は、一切関心などないようにしていたが、本当は誰よりも大きな溜息を吐き出したい気分でいた。
ちらっと初夏を見ると、初夏は困ったような顔で、昴を見た。
きっと、こんな風な状態の桂木を初めて見て困惑しているのだろう。
全く持って、面白くない状態だが、ほっておく訳にもいかない。
まず、そらが桂木を酔わせようと作戦を提案した時点で、万が一 桂木が酔い潰れた時は、自分がハンドルキーパーになるつもりで、昴は一切アルコールを口にしなかった。
そこまでは、想定内だった。
しかし、まさか
桂木が初夏の膝枕で寝てしまうなど、全く予想外の事で
昴も少なからず、動揺していた。