*恋人は専属SP 夢2*
□*春の午後*
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ふわふわのレースのカーテンが、暖かな陽射しと風と共に揺れる
洗いたての、真っ白なシーツをフワリとベッドに掛けて、ぽふんと初夏が横になった
「んー、いい気持ち!」
シーツに顔を埋めて 気持ち良さそうにしている初夏の隣に昴も、自身の身体を横たえる
「天気良いと それだけで幸せな気分になりますね」
昴の指に自分の指を絡めて、ふんわりと笑みを浮かべた
「せっかくの休みなのに、出掛けなくて良かったのか?」
空いている、もう片方の腕で初夏に腕枕をするように抱き寄せて昴は、陽射しと溶け合う初夏の甘い香りを吸い込む
「うん、いいの」
ふぅと安堵の溜息を漏らして昴に甘えるように、くっつく
昴の仕事は特殊で、いつも自分の命を盾にマルタイの命を守る
そんな糸を張り詰めるような緊張の日々の中、昴にとって初夏は、唯一安らげる存在だ
その愛おしい存在を胸に抱きしめると、急速に自分の体温が上がるような気がする
柔らかな頬にキスを落とすと、くすぐったいように小さく身をよじって笑う
「遠慮しないで、デートしたいなら言えよ?」
「…だって、」
「ん?」
「独り占めしたかったんだもん」
完璧な婚約者は、優秀な初夏のSPでもある
初夏がファーストレディの代わりに公務に出席をする時は、大抵昴が警護についてくれる
だから、昴と一緒にいる時間はある
だけど、SPに徹している時の昴は、初夏と二人で居る時は、当たり前だが違う
そんな時、1番近い存在の彼が少しだけ、遠い存在に感じて 寂しくなってしまう
いつでも、どんな時でも初夏の安全を第一に行動をしてくれて、場合によっては自身の身を呈して初夏を守る
昴にしてみれば、自分の命など初夏を守る為なら、失っても構わないと思っているが、昴が怪我をする度に、初夏は特殊なこの関係を悲しく思ってしまう