*恋人は専属SP 夢2*
□*ハ.ナ.ビ*
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−−−ドーーン−−
夜空に打ち上げられる、大輪の花のような光りに初夏は、笑みを浮かべて魅入っている。
いつもは、下ろしている長い艶やかな黒髪を緩く纏めて、小さな花がついている かんざしで飾っていた。
田舎のおばあちゃんが送ってくれた、浴衣は とても品が良く、それを着た初夏は とても綺麗で−−
昴は、先程から上がっている花火よりも隣の初夏に何度も視線を落としていた。
花火の光りで、初夏の横顔もキラキラと光り、思わず うっとりと魅入ってしまいそうになる。
「…綺麗だな…」
ぽつりと、昴の口から漏れた言葉に初夏は、花火から、昴に視線を移した。
花火の光りで、照らされる昴の顔は、とても端正で−−初夏を見る瞳は、とても優しくて−−
初夏の頬に、熱が上がってくる。
「そ、そうですね…本当に、綺麗ですね。」
夜で良かった…と、昼間だったら真っ赤になった自分の顔がバレてしまう…と
心の隅で、思いながら
初夏は、また花火に視線を移した。
「…花火じゃ、ねーよ」
「…え?」
昴の声に、初夏は呆けたように、目を見開く。
「浴衣、似合ってる」
昴は、花火を見上げたまま 少しだけ照れ臭そうに言った。
思いがけない昴の言葉に、初夏は、呆けた顔のまま 昴を見上げていた。
初夏の視線に、気付き昴は、初夏を見つめた。
「なんだよ…」
照れ臭そうに、昴が言うと初夏は、一気に身体中の体温が上がるのを感じた。
「ありがとうございます。…嬉しい、です。」
少し俯いて、嬉しそうに微笑む初夏の手を、昴はそっと繋いだ。
小さく初夏の身体が震えたのが、昴の身体全体に伝わり、心臓が煩く高鳴る。
−−手を繋いだぐらいで
こんな風になるなんて、全く らしくねーな…
と、心の中で苦く笑ってしまうが、この痺れるような甘い感覚は、初夏と居る時しか感じる事がなく、嫌と言う程 彼女を愛していると思い知らされる。