小説

□THIS IS A KIND OF WAR
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これは一種の戦争である。
きっと彼は、今日も落ちてはくれない。


「いらしゃいま…、ってお前か」
「俺は一応客だよ…客に対してそれは無いんじゃない?」
「ふん、ほぼ毎日飽きないもんだな」
「そりゃ、」
落ちてくれるまではいくらでも
にっこり笑ってカウンターの、彼の目の前に腰をおろすと素っ気なく、何にすると聞いてきた
「君」
「刺すぞ」
殺気を立てつつアイスピックを向けてくる彼に苦笑を返して、冗談だと言い訳する。
…冗談ではないけど
「じゃあ、ジン・リッキー」
「あぁ、氷は?」
「…入れてくれるかな」
「了解」
慣れた手つきで氷を入れ、グラスにライムを絞り落とすと、ドライジンを入れソーダを注ぐ
マドラーでライムを潰しつつ軽くステアする
その動作をする手が、指が美しい。
思わず見取れてしまうほどに
コースターの上にグラスが置かれるとカラリと氷が音を立てた
「お前はいつもジン系だな。甘いのは飲まないのか?」
「ん?うーん…カクテルはジン系が好きかな。そりゃ他のも飲むけど」
「スクリュー・ドライバーは?」
「甘くない?」
その返答に呆れたようなため息をつく
「どこまで辛口派なんだ。しかも酔わないしな。ザルだろ」
「あまり酔わないね。二日酔いもないよ」
彼は少し悔しそうな顔をしてじっと俺の顔を見て、散々ためた後に口を開いた
「…………他の酒は?」
「大体辛口かな。ソフトドリンクも甘いのは飲まないよ。お茶かコーヒー」
「嫌いなのか?甘いもの」
意外そうに目を見張る
可愛いな…
「嫌いな訳じゃないけど、飲み物は後味がすっきりしてるのがいいんだよ」
「人それぞれだな…」
改めて理解したかのように呟く。「君は?甘いものは好きなの?」
「好きだ」
あわよくば言ってくれないかな、なんて思っていたセリフを彼はさらりと言う。
俺に対して言われた訳ではないが不意にドキリとしてしまう。
そんなことを悟られないようにおどける。
「そのセリフ、いつか俺に向けて言ってくれないかな」
「誰が言うか。」
やっぱり予想通りだ…
「うん、そう言うと思った。あ、今日職場の女の子から貰ったんだけど」
ふと、カバンの中の甘いものの存在を思い出し取り出す
「食べない?」
それは有名な高級チョコレートだった
小さな箱に10枚ほど入って2000円もするような。
「いいのか?高級品だろうに」
「良いよ。あまり食べないしね。好きなだけ食べて」
「ありがたく頂く。…しかし、モテるんだな。ん、さすがだ…美味い」
「そうかな…女の子が勝手に持ってくるんだよ。…好きなの飲みなよ、奢り」
「…可哀想だな、お前に惚れてる奴は。…ありがたく」
そのまま、手はグラスを取りカクテルを作り始める
あ、スクリュー・ドライバーだ。
「ははは、確かに。俺はここのRoyalに惚れてるから」
「Royal?誰のことだ?」
しれっとして聞いてくる彼に俺は軽く笑う
「言わせようとしてる?Royal Highness」
「Will you muder?」
「はは、怖いなぁ…」
「ふん、」

彼を陥落させる戦争の終戦には時間が掛かりそうだな…

俺はこっそりとため息をついた


(これは一種の戦争である)








あとがき
あぁぁぁぁぁもはや趙雲が誰\(^p^)/
どっからどうみてもお互いを好きなのに、気づかない鈍感男×陥落したいけど敢えてしない男^^
そんなやりとりを、もう一人の髭バーテンと髭オーナーが微笑ましそうにみてる。
ぷまいです←

シリーズ化するかもしれない代物です
なぜこの設定が出来たか、投票で客×バーテンが一位だったからです!!←
ではでは、現代パロディもよろしくお願いします←

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