小説

□月見に酒よ戯れよ
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「兼続、」

書簡に向かう兼続のピンと伸びた背に声がかかる

多少驚きつつも振り返ると、開け放たれた襖に巨大のシルエットがあった

月が明るく逆光に影になった顔は見えずとも、兼続にはすぐにわかった

「どうした、慶次…こんな時間に」

顔を綻ばせる兼続に、慶次は少し体をずらし兼続にも月が見えるようにし、月を見上げた

「こんなに良い月なのに俺の恋人は仕事ばかりでねぇ…」

「…なんのことだ?」

恋人と言うことに照れ、とぼける兼続に慶次は笑い声をたてると、手に持っていた酒瓶を持ち上げた

「月見酒とどうだい?」

兼続はわざとらしくため息をついた後、仕方ないなと呟いて立ち上がった

「本当は飲みたいくせに…素直じゃないねぇ…」

「…うるさい」

廊下に円座を二つ並べ、そこに2人は座った

共に杯に並々と酒を注ぎ合い、軽く掲げて口に運ぶ

「…良い酒だ」

「月も綺麗だしねぇ…酒の共は兼続ときた。最高の夜だ」

「煽てもなにもでないぞ…」

顔が火照り赤くなるのは酒のせいではないだろう

ただでさえ、ザルである兼続は簡単に酔うわけがない

「酔ったのか?顔が赤いぜ」

ニヤニヤと笑いながら顔を覗きこんでくる慶次に、さらに顔が赤くなる

「よ、酔うわけがないだろう!」

「俺は酔っちまうななぁ…」

「……?もうか?慶次が?」

「兼続…お前にな」

「……お約束過ぎて面白くないな!!」

兼続はツンとそっぽを向くと酒を呷った

「お約束だろうとなんだろうと、事実なんだがなぁ…」

「お前は…!!」

いつも私をそうやってからかう…不義だ…

そう呟いて、戻らない頬の熱を見られたくないので背を向けた

「事実だ。不義じゃないぜ」

兼続の体が後ろに引っ張られた

ぎゅうっと後ろから抱きしめられれば、体格差がありすぎる故に兼続の体はすっぽりと収まってしまう

「け、慶次!!!」

「俺は本気なんだぜ…?いつでもな」

「っ…!わ、わかったから離せ慶次!!」

もがいて抵抗をしても意味がないのはわかっていても、止めない兼続に慶次はニヤリと口の端を釣り上げた

「兼続…」

ぎゅっと抱きしめる力を強め、それ以上抵抗することを止めさせ、その隙をつき、膝の上に横抱きにする

「っけい…じ」

慶次は段々と顔を近づける

「っ…いやだ…」

兼続が押し返すも引き寄せられ、近づくばかり

「慶次っ…ここは外だっ…!誰かが見ていたらっ…!!」

「誰も見ちゃいない…」

慶次が噛みつくように口づける

「っん…んぅっ…!」

兼続の反論を飲み込むように口内を犯していくと、段々と力が抜けていき、慶次に身を任せた

「…ん…っ…はぁっ…」

名残惜しいかのように銀の糸が二人を繋ぐ

兼続の力の抜けた体をゆっくりと押し倒すと、不満げな顔をして呟いた

「…不義」

「ははっ…酔っ払った者の戯れだと思ってくれ。しかし…綺麗だねぇ…」

兼続は潤んだ瞳に上気した頬、それに月光が加わりさらに美しくさせていた

「っ…不義だ…っ!!だいたい誰かに見られたらと…!!」

「んー?あ、見てるのは綺麗な月しかいないぜ」

「馬鹿」

「ははっ馬鹿で結構!あんたの綺麗さには俺の理性も負けるよ!」

「なっ…」

慶次はニヤリと笑うともう一度口づけた

「ってことで、いただきます」




月見に酒よ戯れよ



次の日
(馬鹿者!あんな所でするから何時もより腰が痛くなっただろう!?)
(俺が悪いのかい?)
(当たり前だ!!)











あとがき
あだだだだっ…ごめんなさいごめんなさい!!
最近慶次の口調が定まらなくて…すんません←
いや、さすがに裏は行けませ(ry

慶兼は好きですよ!!大好きです!!
むしろ慶次→→→→←←兼続なうちの慶兼www
基本的にダークにはなりません
うちの兼続はなかなかしっかりしてるタイプなので、転がり込んできた慶次の扱いはなんのそ…の…なはず←
あ、これは誘ってるんですね!!←
では、読んでくださってありがとうございました!!

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