小説
□右手に忠誠 左手に愛を
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梵天丸が9歳になった年の冬、彼は離れの使われていない部屋で一人生活していた
部屋にはめったに誰かが近寄ることなく自分の周りのことは全て自分でこなしていた
いつも一人、これからも一人
そんな事実に似た考えがいつも脳裏をよぎる
(きっとこのまま死んでいくんだ…それも構わない)
読みかけの書に気もなく目を通していたら廊下より足音がし、部屋の前で止まる
「入るぞ、梵天丸」
間髪入れずに開けられたら戸の向こうには輝宗とその後ろに控えた長めの髪を上に結い少し強面の青年がいた
輝宗だけならまだしも、後ろの青年に対して不快の目を向けた
「これからお前の世話役となる片倉小十郎景綱だ。頼むぞ小十郎」
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